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ぼんやり令嬢は現実逃避をしたい

「は?」


 ぽかんと口を開けるラフレーズ様と、事情をしっているせいか何とも言えない表情を浮かべる二人を見て、しまったと思いなおしすぐに言葉を慌てて返した。


「あぁ、深い意味はないんです。そのレヴィエ様とは恋愛感情が生まれる前から決められてた婚約でしたし……正式に破棄するまで他の方と恋愛なんてしてないですし……」


 「いや、でもその……婚約者のこと好きじゃなかったんですか?」


 純粋な、それこそ婚約者同士はそうであるべきという理想をまっすぐぶつけられて、それもラフレーズ様ほどの美少女に言われ、あぁこの人は本当に物語のヒロインのように純粋な恋愛を信じているんだなぁと、その純粋さを羨ましいとさえ思いながらいろんなことが脳裏に駆け巡り、ようやく言葉が口から出てきた。


 「流石に危害を加えてくるような人とは無理ですねぇ……」


 まぁ、それも私の気を引くためだったらしいけれどと遠い目をしながら数々の所業を思い出し、乾いた笑みが零れた。

 いや、あれで惚れる人いないよ……?どこをどう考えても……

 どうやったらあれで惚れるんだろう。

 でもあの人、モテてたなぁ……と今はレイラントにいる、生死不明な元婚約者のことを思い出していると、ラフレーズ様の表情は一瞬で涙目になっていた。


 「え?え?」


 「それは今まで辛かったでしょう?誰にも心を開けずに……」


 「……うん?」


 割と開いてると思うんだけど?シャロとか、それこそリノンやオルハやエマもいるし、伯父様にも優しくしてもらってるし、タウンハウスの方々にも優しくしてもらってるし、家族仲もそこまで……まぁお母様とは折り合い悪いけど……とかぼんやり考えていると私が首を傾げているのに気づかず、ラフレーズ様の中で何かの歯車が動いたのか、涙目で私の手を取った。


 「そんな心が弱り果てている時に王女に無理やり側仕えにされていじめられて、無理やり婚約させられてお可哀そう」


 「アイン王女が?私を?いじめる?」


 あまりに素っ頓狂な結論と迫真過ぎるラフレーズ様に気圧されていると、ラフレーズ様はさらに燃え上がった。


 「私が救ってさしあげます!!!」


 「救う?何から?」


 というか聞きたいことがあったのでは?と戸惑う私をよそにラフレーズ様はランチをほっぽってその場からどこかへ行ってしまった。


 「え?えぇ?なにがなに?」


 「フルル……今日のこと、一応ニーチェさんに相談した方がいいと思う」


 「え?相談?」


 色んなことが怒涛過ぎておろおろしていると、シャロが深くため息を吐いた。

 そもそも何をどう相談するの?戸惑って入るけど危害とかではないし……と心の中にある冷静な部分で考えていると、その様をみてレベッカ様は優しく答えた。


 「何か事が起きる前に芽を積んだ方がいいですよ」


 「なるほど……?」


 色んな感情にぐるぐる振り回されながらも、午後の授業を終え、オルハに首を傾げられながらも王宮に向かうと門番さんは嫌な顔せずに通してくれた。


 「おや?ベルバニア伯爵令嬢、アイン様なら執務室ですよ」


 「ありがとうございます」


 軽く会釈をした後に、見慣れた階段を上がるとこちらから探す前にニーチェさんの姿が見え、ひどく安心したがどうしたらいいかわからず固まってしまった。


 「フルル?どうした?」


 「ニーチェさん……ええと」


 「?とりあえずお茶でも飲んでくか?姫さんもいるし」


 首を傾げながらも優しく促され見覚えのある執務室にいくと、アイン様は一瞬で表情を和らげて迎え入れてくれた。


 「あら、フルルちゃん来てくれたの?嬉しいわ」


 「あぅ、あぁ……はい」


 あまりの可憐さと、何をどう説明していいか悩んでいるうちにアイン様も、ニーチェさん同様に可愛らしく首を傾げて可愛らしく微笑んだ。


 「どうしたの?ニィリエになんかされた?」


 「違います違います」


 「素早い否定助かる……けどどうしたんだ?」


 「あー、そのえーっと……」


 二人に問いかけられ、ラフレーズ様と今日あった一件を話すと、それまでの和やかな空気は穏やかにどんよりと変化していった。


 「なんかフルルちゃん思い込みの激しい子に縁ありすぎじゃない?」


 「そうですか?」


 「自覚無いのすごいなぁ」


 「まぁ、そうでなきゃやってられないわよねー……にしても私がフルルちゃんをいじめる……ねぇ?まぁ面白い妄想ねぇ」


 「なんかフルルが読んでた本にそんなのなかったっけ?」


 「……あったような?なかったような?」


 そう首を傾げた途端に、正面ホールから騒々しい声が響いた。


 「あら?噂をすれば……」


 アイン様がゆっくり視線をむけるとその先には、苺のような赤い髪をゆらし、義憤にかられたような表情で受付の人に食って掛かるのをみておもわず血の気が引くのと同時に、ニーチェさんがよろける私を支えてくれた。

 すいませんと答えるより前に、ラフレーズ様がずんずんと此方に向かってくるのが見えてしまい、このまま一発頑張って気絶しようかかんがえてしまうのだった。

いつも読んでくれてる皆様、初見の方閲覧ありがとうございます。

いいね、評価してくれる方本当にありがとうございますとてもモチベーション向上につながっております。


お暇なとき気軽な気持ちで評価、ブクマ等していただけたら幸いです。

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