ぼんやり令嬢と自己嫌悪ともしもの不安
「そういえば聞いたわよ。ビクトワール子爵令嬢のこと」
「あー……」
流石シャロ、耳が早いと思いながらもミエレッタ様の言動を思い出して、頭が痛くなってきた。
「まぁ、フルルがガツンと言うくらいには、ひどかったんでしょうけど」
「あはー……」
正直言って、あれはもう頭抱えたよ私は……。
仮に、もし仮に最近爵位をもらったばかりの家なら、そういったこととかに疎いのかな?とか色々おもうけれど、貴族の自覚があって、
相手が婚約者がいることが分かって、いろんな人のことを引っ掻き回して、いたずらに傷つけて、流石に何も庇えなかった。
……まぁ、貴族って面倒くさいんだよ。
恋愛するにも何するにも縛りがあるし、行動とかに責任常に付きまとうし、その代わりに市井の方々より、いい暮らしさせてもらえてるわけだからねぇ。
責任は負いたくない、でも利益だけ欲しいとか、可愛ければ、人を傷つけても構わないと思っている、あの傲慢な神経が、どうしても許容できなかった。
そもそも平民の方だって、いろいろと自由だけど、生きるために働いてくれてるんですからね。という思いが考えれば考えるほど出てくるが、最終的には、何より、それをよしとしたビクトワール子爵にも嫌気が差してしまった。
まぁでもあれだよねぇ、流石に言い過ぎたかもなぁと、時間が経ったおかげで、自身の発言とか思い返して、反省してしまった。
「はー……」
「凹んでるなぁ」
「自分の愚かさがなんかこう……くぅ」
「まぁ、次回に生かそうな?」
ぽんぽんとニーチェさんが頭を撫でた後に、思わずその言葉が聞き捨てならず、見上げてしまった。
「次回があるんですか?」
「……ない方がいいよな。確かに」
「まぁ反省できて偉いってことでいいんじゃない?別に、実際フルル反省できるし」
最終的にシャロに纏められたが、ちょっと自分の中にある考えと変な所で怒りっぽいところ見直さないとなぁと反省しているとシャロはため息交じりに答えた。
「まぁ あまり考えこまないほうがいいわよ?あとため込まないことねー」
「わかったぁ」
ぐりぐりと私の頭を押しつつ、うんうん頷くとシャロは続けた。
「わかればよし」
満足そうに笑うシャロが可愛いなと思いながらも、傲慢にならないようにしなきゃ、と肝に銘じたのだった。
じゃあお茶の支度するから、とシャロに言われ座って待ってると、ニーチェさんがふぅと大きくため息を吐いた。
「……どうしました?シャロの可愛さにあてられましたか?」
「どうしてそうなる?」
「安心してください。私は会うたびにあてられてるんで」
「どこに、大丈夫の要素があるんだそれは……」
ニーチェさんはおいおいといった風に頭を軽く振ると苦笑しながら続けた。
「いや 相変わらずシャルロット嬢のこと好きだなぁって思ってさ」
「まぁ 圧倒的事実ですけど……」
「……怖いこと言うけど、三年になった時、クラス変わったらどうするんだ?」
「……泣きながら、一年間孤独に、教室の隅で震えて過ごすほかないのでは……?」
あ、無理。
考えたら辛くて視界が歪むんだけど……。涙を流すわけにはいかないわ、と虚空を見つめていると、ニーチェさんが慌てた様子で、いつもより早口でフォローに入った。
「ごめんごめんごめん、嘘嘘嘘、嘘だから」
「はーぁ、辛いなぁ。考えたら悲しいですわぁ」
「ごめんってぇ」
わたしが虚空を見つめ、ニーチェさんが謝り倒しているという、かなり混沌とした光景にシャロは、肩を落として呟いた。
「……どういう図?」
「シャロぉ~」
「あぁ 詰んだ」
「まぁ大体事情は分かるけどね……」
シャロがうーんと唸る横で、私はクラス替えの話をシャロに伝えると シャロはそれはそれは可愛らしい笑顔を浮かべた。
「まぁ最悪、私が何とかするわよ」
「失礼ですけどシャロどういった方法で……?」
「金と権力?」
すごい、ほとんどの人が口ごもるであろう言葉を迷いなくいう様、私には真似できない……。まぁ、公爵家だし、実際できるからこそ言えるんだよなぁ……。あと嫌みのない言い方だからこそ、傲慢な印象も抱かせないの強いなぁと、誰にも頼まれてない分析をしていると、シャロは少し考えた後に、つぶやいた。
「まぁ多分、単位さえ落とさなければ大丈夫じゃない?選択科目の成績次第では、進路変更とかできたりするけど…。実際バーナード様はそうね。一年は騎士専攻だったけど、魔法の成績が良かったから、編入をすすめられたのよ」
「へぇ……あ、確かに一年の時にはいなかったかも、バーナード様」
「本当、そういうの疎いわよねぇ……。まぁ、詳しくても逆に怖いんだけど」
へぇ、と今更過ぎる感心をしている私を見て、通常運転と判断したらしいシャロは、ゆっくりと紅茶に口をつけた。
「まぁ教師からしたらそんなことより勉強しなって思うでしょうよぉ」
「そこまで言うほどフルル成績悪くないでしょう?」
「今はみんなのお陰でね。本当に一年生の時ひどかったからねぇ。何が分からないか分からない以前に、教師の言ってることが分からないというか……」
思い出して、さらに上を向いていると、シャロがぼそりと呟いた。
「……で、頑張って当時の婚約者に聞きに行ったら、女生徒侍らしてたと」
「目すら合わなかったなー……」
当時を思い出し、意図せず乾いた笑みを浮かべると、シャロが私の好物のチョコとナッツのクッキーを差し出した。
「……クッキーたべる?」
「食べる―」
「本当 フルルは苦労人だよなぁ……頑張ってるよ偉いえらい」
「なんか、ものすごい労わられている……?」
予期せぬねぎらいに戸惑いつつも、好意にはしっかり甘えつつ、その後も少し話した後に、シャロとは別れた。
「じゃ 無理しないようにね」
「うん」
少し名残惜しい気持ちがありつつも、アイン様のところへ向かっていると、目の端に気になるものを見つけた。
「うん?」
「どうした?フルル」
「これ、何かの記号ですかね?」
気になったもの、といっても大したものではなく、ただ木の表面を、ナイフのようなもので傷つけた跡がみえ、それが単なる傷や、獣がひっかいたようなものではなく、文字や記号のようなものに見えてつい足を止めてしまった。
「テント設営の時にしるしをつけたのか?それにしては、このあたりには、どこのテントもないが」
「うーん?私の気にしすぎかもしれないです……。すいません」
「今日みたいな日は、心配しすぎなくらいが丁度いいよ。何があってからかは遅いし……」
「ありがとうございます」
ニーチェさんの優しい対応に頭を下げると、ふとその木の根元に、紙のようなものが埋まってるのが見えて、手袋を取ってそれに触れた途端に指、先に熱いものを感じそれを手放した。
「わっ」
「フルル!?」
ニーチェさんに引き離された後に、指先を確認するもやけどの跡はなく……、おそらく、エフレムさんがくれたバングルのお陰だろう。確かこれは私個人に向けられた敵意でなくてもある程度は守ってくれる代物で、多分これがなかったら火傷してただろう……。
「大丈夫か?」
「え?あ……はい」
呆然としながら、かなり心配そうな表情のニーチェさんに、何度も確認され、何処もケガしていないのが分かると、ニーチェさんは、心の底からほっとしたような表情を浮かべただけで、特に怒ることは無く、その後も、手を引いてアイン様のところへと戻ってくれたが、もはやこれは、年の離れた妹の世話をする兄なのよ……。
いや年の離れた兄いないけど、いるのは姉だけどと、誰にも求められてない訂正をするのだった。
誤字報告、感想ありがとうございます。
また誤字報告なんですけど シンプルに誤字だけ報告してくれるとありがたいです
注文多くてすいません。
いつも読んでくれてる皆様、初見の方閲覧ありがとうございます。
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