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殺戮の狂想曲(旧題:軍人少女の日常)  作者: 麻婆カレー寿司
7/11

【番外編】 過去

少女の定義について調べていたら、いつの間にかpixivでスク水の画像を調べてた。性癖って恐ろしいね……。




5年前…………





「自動で資材が届けばいいんだがな……」

アシュティンは現在、魔道具の材料を買うため、外出していた。

欲しい時に欲しい物があり、作りたい時に作れる。

そんな、夢のような工場(こうば)があればいいなと、想像せずにはいられない。

(……そうか……!助手を雇えばいいんだ……!なぜこんな簡単なことを思いつかなかったんだ……!)

資材が無くなりそうになったら、雇った助手に買わせに行かせる。

そうすれば、自分は研究所いえから出ずに好きなだけ魔道具を作っていられる。

まさに、理想郷。

幸い、飛行魔法のおかげで、金はたんまりある。

(そうと決まれば……)

その時、アシュティンの横を一人の少女が横切った。

「っと、君。盗みはよくない」

「ッ!はなせ!」

「それを返してくれたらね」

もう秋も終わりを迎えるというのに、その少女はかなり薄着で、痩せ細っていた。

おそらくスラム街の子供だろう少女は、アシュティンの金入れを盗もうとして、気付かれてしまった。

「このッ!」

「っと、……勘弁してくれ」

少女はどこからか取り出したボロボロのナイフを、アシュティンに突き立てようとして、止められる。

(まったく、運がない…………いや、待てよ……?)

アシュティンは自分を睨め付けている少女の眼に違和感を覚えた。

(どうやら、逆だったみたいだ)

アシュティンは少女から取り上げたナイフをその場に捨て、少女を担ぎ上げた。

「ッ!このッ!はなせ!おんなっ!」

「君も女だろ」

「はなせぇぇぇ!」

少女は振りほどこうと必死に暴れる。

「暴れないでよ、ご飯食べさせてあげるからさ」

「ッ!」

一瞬、抵抗が弱まるが、

「だ、だまされないぞ!売って金にするんだろ!」

「そんなことしないよ、もったいない」

「……」

少女は逃げられないと判断して、どうせ売られるなら最後に、食べ物が食べられる可能性にかけて、抵抗をやめた。

「いい子だ」

アシュティンはホクホク顔で自分の研究所(ラボ)に向かった。






「そんなに慌てなくても、誰も取ったりしないよ」

「……」

必死にパンにかぶりつく少女にアシュティンが落ち着けと促す。

しかし少女は聞く耳持たず、あっという間にパンを平らげ、ミルクを飲み干す。

「君、親は?」

「……いない」

ならばと、アシュティンが続ける。

「もし君が私の仕事を手伝ってくれるなら、衣食住を提供するんだけど、……やってくれる?」

「……何をしろと……?」

「お使いとか、色々」

「……お金を持って、逃げるかもしれませんよ……?」

「別にいいよ?今まで通りの生活に戻りたかったら、そうすればいい」

金を持って逃げても、いつかは無くなってしまう。

少女に選択肢は無かった。

「……わかった」

こうしてアシュティンは貴重なサンプル兼助手を手に入れた。






それから毎日、実験と雑用の日々。

時に、荷台を引いて、頼まれた物を買いに王都中を駆け巡り、

魔眼の研究と称して、目玉を弄くり回され、

家事をこなす。

スラムで育った少女にはどれも新鮮な経験だった。

もっとも、目玉を弄られたことのある人間はそう居ないだろうが……。



そんな日々が一年ほど続いた、ある日。



「エア、いいことを思いついたんだ、手伝ってくれ」

「何をすればいいですか?」

エアと呼ばれた少女は1年前、アシュティンに拾われた頃のボロボロだった姿からは想像できないほど綺麗になっていた。

ボサボサでくすんでいた髪色は綺麗なスノーホワイトを取り戻し、長さもショートからミディアム程度にまで伸びた。

「全裸になってこの上にうつ伏せで寝てくれ」

「?……分かりました」

いつもは、眼が見やすいように仰向けで寝かされていたので、少し疑問を感じたが、言われるがまま、服を脱ぎ、アシュティンが指さした台の上に寝転ぶ。

「じゃあ、眠らせるよ」

「……」

アシュティンはそう言うと、睡眠魔法と麻痺魔法をエアに向けて発動した。

エアの意識は一瞬で闇に沈み、深い眠りに落ちた。






「ん……」

目覚めた場所は自室のベッドの上。

「ん……?」

エアは、目が覚めてすぐに、自分の身体の異変と違和感に気付いた。

目を開けているはずなのに、何も見えないのだ。

「……」

しかし驚きや戸惑いは無く、「ついにか……」という、納得といった反応を見せた。

魔眼の研究と言えば聞こえはいいが、その実、ただの人体実験だ。失明程度は覚悟していた。

とはいえ、肉眼よりも魔眼の方が遥かに優秀なのだ。エアからすれば、時々使っていた物が、普段使い用になった程度の感覚だった。

そんなことよりも、違和感の正体の方が気になっていた。

痛みなどではなく、記憶が埋め込まれたような、そんな違和感。

「飛行魔法……?」

エアはなぜかその違和感の正体に気付いた。

自分の身体に刻み込まれた魔法の存在を無意識に感じ取ったのだ。

「正解」

声が聞こえ、振り向くと、部屋の入り口にアシュティンが立っていた。

「そろそろ起きる頃だと思って来たけど、当たりだったみたいだ」

「博士、何したんですか?」

アシュティンはエアに行った実験の説明をする。

「エアの身体に、飛行魔法の魔方陣を刻み込んだ、これでエアは誰よりも自由に空を飛べる!…………はずだ」

「はず……」

自信があるのか無いのか分からない発言に少し心配になる。

「飛行魔法を感じたんだろ?」

「それは、まぁ」

「じゃあ、飛んでみてくれ」

言われるがまま、飛ぶことに意識を向けると、

「お、お……おぉ」

自分でも驚くほど簡単に飛ぶことが出来た。

そのまま、部屋の中を飛行魔法を使って移動してみせる。

初めてのはずなのに、手足のように扱えることにエアは驚いていた。

エアがアシュティンの前に降り立って、感想を口にする。

「初めてのはずなのに、まるで手足のように使い方が分かりました……」

「さすが私だな」

アシュティンは実験が成功した満足感を感じながら、自分を褒め称えた。

そんな、アシュティンにエアは残念な報告をする。

「自画自賛しているところすみませんが、目が見えなくなりました」

「ついでにやった魔眼の実験のせいかもな…………」

「ついでに失明させられては困るんですが」

といっても、見えなくとも視えているので、大して困っていないのだが。

「でも、魔眼の力は使えるんだろ?あんなに自由に動き回ってたんだから」

「まぁ、そうなんですけどね」

「じゃあ、いいじゃないか」

大して悪びれる様子もなく、皿を割った程度の感覚でいるアシュティンに少々呆れるエアであった。


少女って『処女』って、意味もあるらしいですよ。

えっちだね。(?)

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