ゆれる金木犀
金木犀。
みんながよく知る、甘い香りの花を咲かせる木。
私は、この木が大好きでした。
その気持ちと、鬱になって寝込んでいる今を重ねて。
作品にしてみました。
ゆらゆらと、見えるのは蜃気楼か幻か。
花はゆれ、甘ったるい香りは黄色がかわいい金木犀。
ベッドの中にうずくまり、外を見ない私に季節を運ぶ。
甘い匂いに誘われて、まわりがちょっと気になって来る。
少しだけ。
少しだけなら、外へ出ようか。
重い腰を上げ、ベッドから下りる。
庭へ出れば、金木犀が私を誘う。
ちょこんと階段に座り込んだ。
見上げた先には、金木犀。
『今日は私、少しだけ元気なの』
声には出さず、静かに心の内で呟けば。
ゆらゆらと、木々は風に揺れ動く。
私の言葉、聞こえたのかしら?
鬱々とした感情が和らぎ、空を見上げる。
青い空。
高く澄んだ青い空に、金木犀はよく映える。
寝込んでいたって、いいじゃない。
たまに外を見る程度でも、いいじゃない。
私には、私の歩き方があるのだもの。
走れなくてもいいんだよね?
『甘い香りが、私は好きよ』
金木犀は、嬉しそう。
今日もまた、ゆらゆらと優しい現実をまとう。
読んでくださりありがとうございました。
この次に、『僕』の詩となります。
続編、というわけではなく。
おなじ『金木犀』を見た、僕の中での物語となります。
表現や作風も、少し変えてみたつもりです。
あわせて読んでいただけると嬉しいです。
ありがとうございました。