公爵騎士様は昼寝をしたい
朝食の後は、マシューと御者の見舞いに行った。
二人とも命に関わる怪我ではないが二人には本当に感謝している。
必死でルーナを守ろうとしてくれたのだから。
「斬られはしたが大したことはない。ルーナのせいではないから気にするな。」
「ゆっくりお休みさせてあげて下さい。」
「勿論だ。治療費も休み中の生活も困らないようにするから心配をするな。」
ルーナはずっと心配していたようだった。
邸に帰り、結婚の祝いにルーナの為に建てたガゼボで二人で昼寝をすることにした。
やっとルーナと二人でゆっくりできる。
「お茶はこちらに置きます。本当に給仕はいいのですか?」
「はい、後は私がします。」
オーレンにお茶を準備させ、ガゼボで二人っきりにやっとなれた。
「カイル様、お茶はどれにしますか?紅茶にブランデーもいれますか?」
「お茶はいいから、こっちにきてくれ。」
「お疲れですか?」
疲れたというか、夕べは結構我慢した。
それにあの真っ黒のぬいぐるみ。
暗闇に真っ赤な目がルーナに贈ったルビーより赤く見えた気がする。
今夜は絶対に持ってこさせないようにしないといかん。
あれは敵だ。
「カイル様、この体勢で昼寝できますか?良ければぬいぐるみを貸しましょうか?」
「…ルーナじゃないとダメだ。」
ルーナを抱き締めたまま寝転がっていると、そんなことをいう。
「人払いはさせているから、このままでいなさい。」
「わかりました。」
「ルーナ、今夜はぬいぐるみはおいてきてくれ。」
「要りませんか?可愛いですよ。」
「ルーナが可愛いから必要ない。」
「そ、そうですか。」
抱いたままルーナにキスをするとルーナは真っ赤になった。
その顔も可愛い。
「そ、外ですよっ。」
「夕べは我慢したんだ。今日は勝つぞ。」
「で、でも護衛の方々が、」
「今は誰もいない。」
やっとルーナが大人しくキスを受け入れてくれた。
可愛い過ぎてこのままベッドに連れて行きたくなる。
「ベッドに行くか?」
「…っ!行きません!今日はお昼寝です!」
やはり無理だった。
「お疲れでしたらやっぱりぬいぐるみを貸しますよ。」
「あれがそんなに気に入ったのか?」
「なんとなくカイル様に似てますからギュッとすると安心しますよ。」
「…赤い目がギラギラしていないか。」
「そうですか?カイル様に似ていて私は大好きなのですが。」
俺に似ているから好きなのだろうか?
まさか、俺は夜ギラついているのだろうか。
ルーナを見つめるとまだ頬が赤いままだった。
ルーナが腕の中にいるのが一番いいと思う。
「ルーナが好きだ。」
「私もカイル様が好きです。」
ルーナは柔らかくていい匂いがする。
癒されるな。
気がつけば二人で眠りに落ちていた。




