公爵騎士様は理性と戦います
「ルーナ、食事中も護衛は離すからゆっくり二人で食べよう。」
「はい。カイル様がいると安心ですね。」
「あのぬいぐるみも気に入ったのか?」
正直見て驚いた。
少しデカくないかと思った。
「気に入ってます。今日も一緒に寝ます。」
「今日はいらないだろう。」
「でも一緒に寝たいのです。」
「俺がいるじゃないか。」
「…護衛の方々が廊下にいるので今日は一緒には寝ませんよ。」
「何を言っているんだ?夫婦なのだから一緒だ。」
段々ルーナの顔が赤くなってきていた。
何を思い出しているのだ。
「ダ、ダメです。廊下に人がいるんです。邸に護衛がついている限りしませんよ。」
「護衛は寝室から離すから大丈夫だ。」
「我慢して下さい。」
「何故夫婦で我慢するのだ。」
「聞こえたらどうするんですか。」
「護衛は離すから大丈夫だ。」
「無理です!だって夫婦の夜があったことが知られてしまいますよ!」
「夫婦の営みがあるのは当然だ!」
「できません!だって、カイル様、その、は、は、激っ…い、言えません!もうこの話は終わりです!」
ルーナはううぅ、と顔を埋めて抱きついてきた。
何だ、激しいとでも言いたいのか。
だからといって、もう何日もないのだ。
「優しくしてもダメなのか。」
「しばらく我慢して下さい。」
「…無理だな。理性と戦うことになるぞ。」
「では頑張って理性と戦って下さい…」
こうなってはルーナは譲らない気がする。
護衛の為の騎士を全員追い出すか。
しかし、ルーナを危険にさらしたくない。
いや、だが、もうリーマス達は全員処分した。
今頃牢屋だ。
………。
「護衛は全員一階に下ろす。」
「夫婦の時間が丸わかりじゃないですか。」
「問題ない。様子が聞こえなければいい。」
「カ、カイル様…」
うっ。
ルーナが目を潤ませて見ている。
可愛い過ぎて、負けてしまう。
「…わかった、何もしない…。だが一緒には寝るぞ。」
「はい、わかりました。」
まだ、足りんがルーナに嫌われない為には仕方ない。
夜には護衛達は二階に上がらないようにさせ、ルーナを待った。
支度ができたのかルーナが続き部屋からやって来ると、あのデカい黒の狼のぬいぐるみを抱いてやってきた。
「お待たせしました。」
俺が待っていたのはルーナだけだが。
「ぬいぐるみはいらないのではないか。」
「そうですか。カイル様、服は着ないのですか。」
「ズボンは履いている。」
ルーナを抱き上げ、ベッドに連れて行くがはっきりいって、ぬいぐるみは邪魔だ。
贈り物を選び間違えた気がする。
ベッドの中でルーナにキスをすると、ルーナの頭の後ろから、あの赤い目がギラギラ見ているようで気になる。
とりあえず、ぬいぐるみの顔をクルッと反対に向けた。
今夜の俺の敵はこのぬいぐるみのような気がしてきた。




