家政婦長は見た 3
どこか元気のなかったルーナ様ですが、カイル様がお帰りになられると、花が周りに咲いたように寄り添って行きました。
カイル様はお仕事で王都に行かれたのにしっかりとルーナ様のお土産を忘れずに買って帰りましたし、益々溺愛しているのがわかります。
「カイル様から差し入れを頂いたので皆で小分けして持って帰りましょうか。」
メイド達にカイル様から頂いた焼き菓子を小分けしてそれぞれに持って帰らせることにしました。
通いの者は夕方には帰りますからね。
メイド達はルーナ様と一緒にお話ができて皆嬉しそうでした。
夕食の支度の為に部屋に行くとルーナ様はリボンを選んでいました。
「ハンナさん、カイル様がお土産に沢山リボンを買って下さいました。今日はリボンをつけたいのですがどれにしましょうか。」
見ると可愛いリボンばかりで安心しました。
あの恐ろしいヘルハウンドみたいなぬいぐるみを見た時は驚きましたが、お土産はまともでした。
着替えを済ましオレンジ色のリボンをつけていると、カイル様が待ちきれないのかやって来ました。
「支度はすんだか?」
何故か片手に剣を携え入って来ました。
「カイル様、その剣は何でしょうか?ルーナ様が驚きますよ。」
「食堂では俺が護衛をするつもりだ。騎士団の護衛は食事中は廊下に出す。」
「そうですか。」
何だか考えるのは止めましょう。
その間、ルーナ様はぬいぐるみをベッドから抱き上げるように取りました。
「カイル様、このぬいぐるみです。ありがとうございます。」
「…これか?」
「はい、カイル様みたいに凛々しくて気に入りました。」
ルーナ様、一瞬カイル様に間がありましたよ。
「そうか、では食事に行くか。」
「はい。」
カイル様のエスコートにルーナ様も自然に手をとるようになって素敵ですわ!
ああ、早く二人のお子がみたいです。
ルーナ様みたいな可愛いお子になりますわ。
カイル様、早くよろしくお願いしますね。




