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公爵様は側にいたい

五分ほどで終わらせるつもりだったが、ルーナが心配過ぎて五分以上抱き締めていた。

ルーナに恐ろしい思いをさせてしまい、本当はずっと離さず側にいてやりたい。

だが、騎士団長としてやらねばならんこともある。

ルーナはこんな俺をどう思うだろうか。


「遅くなって、すみません。」

「ルーナは大丈夫か?」


バーナード様もルーナを心配していたらしい。


「今は側にいてやりたいので、執務室で休ませてます。申し訳ありませんが、お話はこちらの部屋でお願いします。」


バーナード様とリーマスの娘と息子も交え、調書を取りながら話を進めた。


今、リーマスやオルセンや一緒にいたごろつき供は地下の留置所に入れている。


明日、ルーベンスの騎士団にも協力を仰ぎ、準備が整い次第リーマス達は王都へ護送することになる。

リーマスの娘と息子も監視つきで、明日一緒に王都へ送ることにする。

ルーベンスの騎士団にも来てもらうのは、バーナード様の騎士団では、正直、力不足だからだ。

実際、ディルス達もすぐにやられていた。


話は終わり、バーナード様がディルスを連れて帰ると言うので、一応様子を見に行くことにした。


俺の顔を見るなり、起き上がりディルスは青ざめて謝った。


「も、申し訳ありません。ファリアス公爵様!」


どうやら、俺に恐縮してるらしい。

ルーナを守りきれず、俺に殺されるとでも思っているのだろうか。


ディルスを馬車に乗せてる間、バーナード様は少しだけ、ディルスの話をした。

どうやら、ディルスは騎士を辞めるらしい。

以前揉め事を起こし、そのことから色々肩身が狭くなっているらしい。

実際、俺が騎士団長でいる限り、恐らく出世もないだろう。

そして、やはり実力不足なのだ。

今回、いくらオルセンが腕が立つとしてもあっさりやられては困る。

俺やヒューバートと比べるのもどうかと思うが、力の差をはっきり感じたらしい。


馬車まで、バーナード様達を見送り、リーマスの娘達も明日まで預かってくれることになった。


執務室にいるルーナを迎えに行き、やっと邸に連れて帰れることになった。


「ルーナ、邸に帰るぞ。」

「泊まりでは?」

「リーマス達を捕らえたからもう泊まりはなしになった。一緒に帰るぞ。」


馬車に乗せ、邸に向かっていると、ルーナは後ろから付いてきている騎士達を見て口をポカンと開けていた。


「カイル様、後ろの騎士様達は?」

「あれはルーナの護衛だ。しばらく邸とルーナの護衛につける。」


これ以上ルーナに何かあっては困る。

少なくとも、リーマス達の処遇が決まるまでは護衛は外すつもりはない。


邸に帰り、外と邸内に護衛を配置した。


「ルーナ様!心配いたしました。」

「オーレンさん、心配かけてすみません。ハンナさん達にも迷惑をかけました。」

「ご無事で本当にようごさいました。」


オーレンもかなり心配していたのか顔に出ていた。


「ルーナ、オーレンの所に行って来るから部屋で休んでいなさい。」

「すぐに、帰って来ますか?」

「すぐに戻ってくるから、部屋にいなさい。」


一緒に部屋に来たのに、ルーナは不安そうだった。

オーレンに夕食を頼み、護衛に来た騎士達の部屋や食事などの手配をして急いでルーナの待つ部屋に行った。

部屋の前で護衛している騎士二人に、交代で食事をするように伝えていると、ルーナがドアを開けてきた。


「カイル様、戻りましたか?」


ルーナを見て、勢いよくバンとドアを閉めた。

寝間着のルーナを部下とはいえ、男に見せるつもりはない。


「カイル様?どうなさったんですか?」


ドア越しにルーナが言っている。


「ルーナ、寝間着で出て来るんじゃない。」

「ちゃんとガウンを着てますよ。」

「前が開いてたぞ。出てはダメだ。」


あんな薄着姿を見せてなるものか。


「お前達は明日の朝まで、寝室には近付くな。俺がいるから、寝室の護衛は大丈夫だ。」


とりあえず、これでゆっくりルーナの側にいてやれる。


「ルーナ、薄着で出るな。」


そう言いながら入ると、驚いた。

ルーナを部屋で待たせている間に、ルーナの背中まであった髪が肩位の長さになっている。


「髪はどうした?髪がないぞ!?」

「一部分だけ長さが違うとおかしいので、少し合わせて切りました。自分で適当に切ったので下手くそですが…。」

「大丈夫だ。ルーナは可愛い。」


ルーナを傷つけ、髪まで切らすハメになるとは、許せんな。


「オルセンやリーマスの首を落とすか?ルーナの髪とは釣り合わんかも知れんが…。」


あの汚らわしい首とルーナの美しい髪とは全く釣り合わんのはわかっているが。


「恐ろしいので止めて下さい。私の髪はまた伸びますから。」

「しかし、」

「もしかして、長い髪が好きですか?」

「そうだな。」

「また、髪を伸ばします。今度は綺麗に伸ばしますね。」

「わかった。何かして欲しいことはないのか?」

「側にいて下さい。」

「ああ、朝までずっと一緒にいよう。」


オルセンから奪い返した時も、騎士団にいた時も、震えていたが今はない。

少しは落ち着いたのだと思う。

だが、今はただ側にいてやりたい気持ちで一杯だった。



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