嫌な予感
執務室で最近の事件の報告書をみていた。
最近、事件が多い。
何故、急に第3騎士団の管轄で増えたんだ。
最近は、バーナード様にも協力を仰いで騎士団の見廻りを増やしている。
捕縛した者達はただのごろつきだが、誰かが煽っているのか、焚き付けている黒幕がいると思っている。
そして、もう1つ気になる報告書があがった。
メアリー・ハーシーズの馬車が事故にあった。
メアリーは軽症だったが、馬車に細工があったと報告書にある。
メアリーが狙われるのは、アルベルト殿下がらみと疑ってしまう。
アルベルト殿下のことで一番恨みがあるのは元筆頭公爵のリーマスだろう。
そう思い、リーマス元公爵のことをずっと調べていた。
「団長、奥様のルーナ様がお越しです。」
気がつけば、昼になっていた。
ルーナから昼食を受け取り、事件のことを考えると少し嫌な予感がした。
だが、ルーナは護衛はいらないという。
せめてもと、ルーナに短剣を渡した。
ルーナを見送った後で、客人が来た。
客人の名前に驚いた。
リーマス元公爵の娘と息子だ。
娘のアンバーは22歳位だが、息子はまだ14、5歳位だ。
嫌な予感がし、見廻りから帰って来たヒューバートにルーナの後を追ってもらった。
そして、執務室に二人を入れて、話を聞くことにした。
「ファリアス公爵様、どうか父を止めて下さい。ファリアス公爵様にも危険が迫っています。」
話を聞けば、爵位剥奪後失脚し、財産もかなりなくなったらしい。
王都も退去になっている。
リーマスが今いる邸は、別名義の邸らしく最近は不審な者の出入りがあったと言う。
話を全て聞いたわけではないようだが、俺を恨んでいる発言を聞いていたらしい。
俺が、ヒューバートを送り込んだり、筆頭公爵の一人になるように声がかかっていたりと目障りなのだろう。
「直接来たことをお許し下さい。しかし、もう私達では陛下に謁見できません。今日も朝から、オルセンや部下達が出て行きました。計画を実行すると。もしかしたら、ファリアス公爵様の所にと思いまして…。」
嫌な予感が増してくる。
ガタンッと立ち上がり、勢いよく執務室のドアを開ける。
騎士団を襲いにくるわけない。
俺を狙うならルーナのいる邸だ!
「全員、ファリアス邸に向かえ!!」
すぐに、馬に乗り追いかけた。
ヒューバートがルーナに追い付いていることを願いながら。




