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逃げたい令嬢と壁ドンする公爵騎士様

夜会にきたが、まだカイル様は来てない。

入り口で待つべきかどうかわからなかったが、中に入ってもいいそうで、一人でホールに入った。


今日のお一人様が楽しくて、その気持ちのまま来たけど、ホールに来ると少し寂しく感じてしまった。


扇子を片手に周りをじっと見てると、皆パートナーがいたり、友人がいたりと私みたいに一人はいない。

よく考えてみたら、私は友人もいないし、今日のお一人様は楽しかった。

いや、ミラ様は友人とお呼びしたいけど、いつでも会えるわけないし。


扇子を拡げたまま、顔を隠すようにうーんと一人考えていた。


その時、周りがワァッとざわめき始めた。

扇子を少し下げ、皆が見てる方を見るとカイル様とルーベンス様がホールに入って来ていた。


ご令嬢達は、キャアと黄色い声を出している。

カイル様は、私を探しているのか、周りを見渡している。

ルーベンス様は、周りに軽く手を振っている。


まだ、カイル様は私に気づいてない。

私がカイル様の所に行くべきかもしれないが、絶対無理!

あの注目の中、側に行く度胸はない!

というか、今ここにいるのが見つかったら、私が注目の的になるんじゃ!?


血の気が引きそうになる。

私はカイル様達みたいに有名人じゃないし、皆の的になるのは慣れてない。


今のうちに逃げよう!

見つかる前に逃げるしかない!


壁を少し歩くとバルコニーの出入口が見え、バルコニーに逃げることに決めた。


ドレスの裾を上げ、早足で行こうと歩き出した。


「ルーナ!」


カイル様の呼ぶ声がして、すぐに見つかったことがわかった。

ゆっくり振り向くと、私の近くにいた人が少しずつ離れ、カイル様がやってきた。


「ルーナ、遅くなって悪かった。」

「は、はい!」


迷わず一直線に私に向かって、颯爽とやって来る姿は目を引く。

夫婦になっても、格好いいと見惚れてしまいそうになる。

しかも、見つかったからもう逃げられない。


「一人で待たせて悪かったな。」


カイル様そう言いながら、少しかがんで私の頬にキスをしてきた。


「カ、カ、カイル様!大変です!皆が見てます!」

「それがどうした?妻に触れて何が悪い。」


鋼の心臓ですね。

私は周りの視線が突き刺さります!


カイル様と一緒にきたルーベンス様は、笑いが堪えられず、クスクスと笑っていた。


「カイル、ルーナ様が困っているぞ。逃げられては困るだろう。」


そうです。

たった今逃げようとしてました。


「恥ずかしがっているだけだろう。まさか、さっきどこかに行こうとしていたのは逃げようとしたのか?」


恥ずかしがっていることはわかっているみたいですね。

逃げようとしたことは言えずに、カイル様から目を逸らすと、恐ろしいことにカイル様が壁にドンと押しやってきた。


「本当に逃げようとしたのか?」

「…か、壁に押しやるのはダメです。前も言いました。」

「忘れたな。」

「忘れないで下さいっ。」


見てます!皆様見てますよ!


「ルーナ様、白状しないとカイルは地の果てまで追い詰めますよ。」


ルーベンス様恐ろしいことをサラッと言わないで下さい!


「…注目になるのに慣れてなくて、少しだけ逃げようとしました。すみません。」

「嫌いではないのだな。」

「す、好きですよ」


その言葉に満足したのか、カイル様はやっと壁に押しやるのを止めてくれた。


「ルーナ様はカイルと婚約した時点で有名ですよ。お姿は知られていないようでしたが、噂にはなってますよ。」

「噂ですか?」

「カイルが、幻の令嬢と婚約し溺愛している、と噂です。カイルが夢中になるほどの絶世の美女だと噂もありますね。」


顔が青ざめます。

幻の令嬢って、今まで人と交流がなかったからでしょうか。

しかも、絶世の美女って何ですか!?


「カイル様、大変です。おかしな噂になってます。」

「噂があるのは知っているが、あながち間違いではないのではないか?」

「間違ってます!絶世の美女なんておかしいです!」

「そうか?ルーナは可愛いが…」


まじまじと見るカイル様はどこか真剣だった。



ルーベンスは、他のご令嬢の所に行くからと言い、笑いを抑えながら行った。


「カイル様、皆様ダンスをしてますよ。」

「したいのか?」

「一曲だけお願いしてもいいですか?」

「ルーナの為なら問題ない。」


カイル様は、私の両手を引き寄せ優しく手や指に口付けをしてくれた。

そして、カイル様のエスコートで一曲だけダンスを始めた。




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