ドレスの試着
「カイル様、行ってらっしゃいませ。」
玄関でカイル様の出勤をお見送りし、カイル様はいってきますのキスをしてくれる。
それが、お見送りの日常になりつつあった。
今日はウェディングドレスの試着がある。
仕立て屋のアイビーさんがドレスを持ってきた。
まだ出来上がってはいないが、サイズを合わせに来てくれた。
真っ白なプリンセスラインに肩はキャップスリーブというデザインらしい。
だが、試着をして恐ろしいことに気づいた。
胸がきつい。
まさか、式の前に太ってしまうなんて!
「…すみません、胸の辺りだけがきついです…」
ハンナさんもアイビーさんも、あらあら、と顔を合わせた。
「ルーナ様はまだ成長期ですからね。」
恥ずかしすぎる!
胸だけ太るなんて!
確かに、お邸のご飯は美味しいけど。
「私、ダイエットします。」
「いけませんよ。ルーナ様は痩せていますから、ダイエットはダメですよ。」
ハンナさんは、カイル様と私が正式に夫婦になってから、お嬢様からルーナ様になった。
そんなハンナさんにダイエットを止められた。
「サイズ合わせに来たのですから、この位ならすぐに直せますわ。もう一度、サイズを測り直しましょう。」
うぅ、すみません。
結局、サイズを測り直した。
まだ、出来上がってはいない為、直すのに時間はあまりかからないと言われた。
アイビーさんは、早速直しに取り掛かります。と明るく言って下さり、元気に帰って行った。
「ハンナさん、すみません。手間をかけてしまいました。」
「大丈夫ですよ。アイビーさんはファリアス公爵家のドレスを作るのは光栄で、一番大きな仕事だと言ってましたから。」
どうやら、アイビーさんにとっても一大ビックイベントな仕事らしい。
今さらながら、カイル様のファリアス家に嫁いだことは凄いことだと思ってしまう。
「でも、どうして胸だけ大きくなるのでしょう。恥ずかし過ぎます。カイル様に嫌われたらどうしましょう。」
ハンナさんは笑顔を崩さないまま、無言だった。
「……成長期?ですから、大丈夫ですよ。カイル様が嫌いになることはありませんよ。」
ハンナさん、最初の沈黙と?は何でしょうか?
成長期ではないのでしょうか?
「やっぱりダイエットします。」
「…カイル様は大きい方が好きかもしれませんよ。」
「今度聞いてみます。」
「…ルーナ様は元々着痩せしてますし、とりあえず、胸のことはおいておきましょう。」
なんだか、よくわからないままドレス合わせが終わった。
とにかく、次のドレス合わせでは、太ってないことを祈った。




