夫婦になりました
領地から邸に帰り2日後、今日は婚姻登記官が邸に来る。
朝起きて着替えたのに、午前中に婚姻登記官が来るからと、朝食後にまた着替えをしている。
「ウェディングドレスは結婚式に着ますけど、今日は入籍する大事な日ですからね。せめて白いワンピースにしましょう!」
ハンナさんは張り切って真っ白のワンピースを準備していた。
「まあ、なんて可愛いらしいんでしょう!」
ハンナさんはずっと、可愛いと言ってくれて笑顔が絶えなかった。
真っ白いワンピースに着替えた後、マシューさんが白い薔薇を持って来てくれた。
どうやら、ハンナさんが私の頭に飾るのに白い薔薇を頼んでいたらしい。
髪をハーフアップにしてくれ、ちょうどいい大きさの白い薔薇を髪飾りにしてくれた。
「こんなに可愛いらしいお姿を見たら、カイル様はきっとお喜びになりますわ。」
「喜んで下さいますでしょうか?」
「当然です。それにお嬢様がカイル様の奥方様になるなんて私達は皆喜んでますわ。」
「私も皆様と一緒にいられて嬉しいです。」
「今日からは、お嬢様ではなくてルーナ様とお呼びしないといけませんね。」
何だか照れてしまう。
今日からは、本当にカイル様と夫婦になる。
こないだは嫉妬心を見せてしまい、カイル様に嫌われたとも思ったが、あれからもカイル様は私を大事にしてくださるのが嬉しいと思う。
部屋のドアを開けると、カイル様がいつも通り待っていて下さった。
「カイル様、どうでしょうか?」
カイル様は、可愛いな、と言いながら、抱き締めてくれた。
書斎に行くと婚姻登記官の方二人が、準備して待っていた。
登記官の方々が準備していた婚姻証明書を確認し、カイル様がサインをした。
カイル様の名前の下に私もサインをした。
これで、正式な夫婦だ。
カイル様と二人で登記官の方々にお礼を言った。
カイル様も機嫌が良く見える。
「来て頂きありがとうございます。」
「陛下直々の頼みですし、ファリアス公爵の結婚に立ち会えるなんて、こちらこそ光栄です。」
そう言い、登記官の方々は婚姻証明書を大事に持って帰った。
「今日からは、ルーナ・ファリアスと名乗りなさい。」
「はい。」
「それと、贈り物がある。」
「何の贈り物ですか?もう沢山頂きましたよ。」
本当に沢山して頂き、これ以上頂くのは申し訳ない気持ちだった。
「こないだの詫びでもあるが、結婚の祝いにルーナに贈ろうと昨日手配した。」
カイル様の出してきたファイルを見て驚いた。
見本だが、そのファイルにはガゼボの絵があった。
まさか、これを庭に建てるのかと驚いた。
「あの、カイル様、まさかこれを建てるんですか?」
「そうだ。細かい打ち合わせは今日に来る予定だ。」
「カイル様、やり過ぎでは?まさかガゼボまで建てるなんて。」
「本当はこっそり建てたかったが、庭で建築を始めたらすぐに分かるからな。」
そうでしょうね。
こっそりは絶対無理です。
「ガゼボが気に入らないのか?嫌なら他のものを建てるか?」
「い、いえ、そう言うことではなくてですね。そんなに簡単に建てるのですか?」
「問題ないだろ。俺がルーナに贈りたいのだ。」
うっ、そう見つめられると何も言えない。
「あの、ありがとうございます。」
「二人で昼寝ができるぐらいの大きさにはするから心配するな。」
そんな心配はしてません。
ご機嫌だとは思うけど、もしかしたら顔にあまり出てないだけでテンションが結構高いのかしら。
よくわからないまま、ガゼボ建築が決定した。
背の高いカイル様が昼寝できる位の大きさにするから、決して小さくはない。
そして、明日から、庭の薔薇園の近くにガゼボ建築が始まることになった。




