ミラ様の結婚式
ミラ様の結婚式当日。
王都の大聖堂に来ていた。
ウェディングドレス姿のミラ様はとても素敵だった。
ミラ様は本当にグレイ様が好きで、幸せ一杯の顔だった。
大聖堂での誓いが終わると、披露宴が行われる。
夜には晩餐会もあり、カイル様と私も晩餐会には出席することになっている。
晩餐会の前には、私もドレスを着替える。
そして、カイル様のエスコートで晩餐会へと行った。
「カイル様、ミラ様とても綺麗ですね。」
「ルーナも早くウェディングドレスを着たいか?」
「確かに、憧れてはいます。」
あの真っ白なドレスは一生に一度のものだもの。
きっと、皆が憧れていると思う。
晩餐会の後は、お酒を皆が飲んでいた。
私はカイル様にお酒を禁止されているから、周りから見たら浮いていると思う。
「カイル様、私のことは気にせずにご友人のところに行ってもいいんですよ。」
「ルーナを壁の花にしてどうするんだ。一人にはさせないからな。」
二人で話していると、ルーベンス様がやって来た。
「カイル、皆お前に挨拶したがっているぞ。」
「知っている方々には、すでにルーナを連れて挨拶したぞ。」
「カイルがこのような場にくるのは珍しいから、皆近付きたいんだろう。」
「カイル様、私きちんと挨拶しますよ。」
ルーベンス様は、カイル様と違い社交的な感じに見える。
かといって、軽薄な感じはなく、とても気品に満ちていると思う。
だから、騎士団長の中でも人気なのが納得できる。
「ルーナ!来てくれて嬉しいわ!式はどうだったかしら!」
ミラ様は周りに花が咲いているような表情でやって来た。
「とても綺麗でした。素敵な式です。」
「ありがとう。ルーナ達の式も早く上げられるように陛下にしっかりお願いしましたからね。カイルがヒューバートを私達に貸して下さったんでしょう?」
「気づいたのは、ヒューバートですよ。」
「それでも、カイル達には感謝してますわ。」
その時、グレイ様が、人だかりを掻き分けるようにやって来た。
「ミラ、一人で逃げるなよ。」
「逃げるのは上手いのですのよ。」
グレイ様はミラ様が逃げられないようにしたのか、がっしり肩を抱き寄せていた。
「ルーナはいつまで王都にいますの?」
「私達は明日には王都を離れるんです。明日から、カイル様の領地に行くんです。」
「では、しばらくカイルの領地に?」
どうでしょう、とカイル様を見た。
「一週間位です。」
カイル様が、淡々と言った。
一緒に行くことだけ考えて、どれだけいるか全く気にしてなかった。
「騎士団は大丈夫ですか?」
「毎年この時期は領地に行くことを知っているから問題ないな。」
「では、一度そちらに手紙を出しますわ。」
ミラ様はそう言うと、グレイ様と次の方々へと挨拶回りをしていた。
「ルーナ、明日は領地に出発するから俺達はそろそろ失礼しよう。」
別邸に帰り、カイル様はお疲れだった。
「どうかされました?もう休まれますか?」
「…明日、叔母上や男爵達に圧倒されるなよ。」
「何かあるのですか?」
「断っているが、第2夫人を薦めてくるんだ。何かあったらすぐに言うんだぞ。」
「は、はい。」
第2夫人?
第2夫人候補を連れて来られたら、私はどうしたらいいのかしら。
「カイル様は第2夫人が、その、欲しいんですか?」
「必要ない。大体何人も同時に相手をするほど、俺は器用じゃない。必要なのはルーナだけだ。」
カイル様のことは信じているけど、やっぱり薦めてこられると不安になる。
結婚した後なら、こんな気持ちはなくなるのかしら。
明日のことに少しながらも不安を覚えたまま、カイル様の腕の中で眠りについた。




