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二人のお出かけ

馬車に行くとハンナさんが見送りに来ていて、カイル様に沢山買って貰うといいですよ。とニコリと言った。


もしかして、朝食の時二人で出ていった時にハンナさんが言ったのかと思った。


「先に騎士団にいって休みを言って来るから馬車の中で待っているんだ。」


カイル様は騎士団の建物につくと、走って建物に入った。


看病のお礼って、私がカイル様に助けてもらったのに、お金も何もないから何もできない。

そんなことを一人で馬車の中で考えていた。


「待たせたな。さぁ行くぞ。」


カイル様が馬車に乗り込み馬車は走り出した。


「…カイル様、昨日はすみませんでした。私、お礼も言えず…」

「昨日のは俺が悪かったのだ。君が気にすることはない。」


カイル様は窓の外を見ており、横顔を見ていると気付かれ、焦ってしまった。


「なんだ?俺の顔に何かついているか?」

「い、いえ、お若いと思って…もっと年上の方と思っていましたので…」

「…10歳は離れているのだから充分年上だと思うが…」

「…もっと中年の方を想像してました。」

「君は、結婚相手の年も知らずにきたのか?」

「はい…。」


カイル様は額に手を当て目をつむってしまった。


「君は世間知らずだな。危なっかしい。」

「すみません。」

「今日は離れないようにしてくれ。」

「わかりました。」


馬車が止まり、降りるとブティックの前だった。

入ると、綺麗な服が並べられ目がキラキラした。


「ハンナに店を聞いた。好きなだけ買いなさい。」

「でも私…」

「金は気にしなくていい。ドレスも買いなさい。」


断ろうにもカイル様は迫力があり、私ではかなわないと思った。

でも、服を選べずどうしていいかわからない。

困っていると店員さんが来てくれ、試着しながら、服を買った。


「カイル様、ありがとうございます。」

「それだけでいいのか?もっと買っていいんだぞ。」

「充分です。初めてブティックに来て嬉しかったです。」

「…そうか。」


カイル様が少し微笑んだように見えて、素敵だな、と思ってしまった。

いつ追い出されるかわからないのに自分が呑気な人間だと思った。


ブティックの次は、カフェに連れて来てくれた。

だがここでも何を頼んでいいかわからずメニューをずっと見ているとカイル様がミルクティーとイチゴのケーキを勧めてくれた。


「美味いか?」

「はい、朝食も食べましたし、ケーキでお腹一杯です。」


思わず無邪気な顔で言ってしまった。


「ルーナは少食なのか?」

「…そうかもしれません。」

「夕べは、それであまり食べなかったのだな。」

「…緊張も…ありました。」

「緊張していたのか?」

「いつ追い出されるのだろうとずっと思ってます…」


ティーカップをカチンとおき、また下を向いてしまった。


「…心配せずに邸にいればいい。追い出したりはしない。」

「本当ですか?」

「あぁ、気のすむまでいなさい。」


気のすむまで…。

なんだか、チクンときた。


「…ありがとうございます。」


お茶が終わり、カフェを出るとカイル様と歩いて馬車乗り場にいき二人でまた邸に帰った。


部屋に帰るとハンナさんが嬉しそうに服をクローゼットに並べていた。


「お嬢様、楽しかったですか?」

「はい、カイル様はとてもお優しい方です。」

「少し愛想がありませんがお嬢様の言うとおりですよ。」

「愛想がないですか?」

「今までの婚約者候補の方は皆カイル様が冷たいや愛想が無さすぎてさっさとでていきました。この部屋も気に入らず文句を言う方ばかりで、カイル様は嫌気がさしてましたよ。」

「…そんな方には見えませんでした。」


そうなんだ。この部屋に今までの婚約者候補の方が…。


「カイル様から朝食を取ると言われて待っていたのはお嬢様だけですよ。」


私だけ…?

少しだけ心が弾んだ気がした。

でも自惚れてはいけないわ。


「カイル様は気のすむまでと言われたから、きっと可哀想な子と思われたんです。カイル様はお優しいですから…」

「そんなことありませんわ。」

「きっとそうなんです…」


あんなに優しい方を他の方がほっとくわけない。

私はきっと出ていく時が来るんだから、期待なんてしないでおかないと…。


私はそんなことばかり考えながらカイル様が買って下さった服を見ていた。


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― 新着の感想 ―
[一言] 第7話まで一気読みさせていただきました。 ルーナがいじらしくて可愛くて泣けてきます。 幸せにしてあげたい! ブックマークして続きも楽しみに読ませていただきます。
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