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番外編(ヒューバートの仕事)

グレイさんや王女達との夕食をした晩、今日も団長の邸に泊まることにした。

正直飲み足りない為、オーレンさんにお酒を貰おうと、使用人のいる所に行くと、ルーナさんがお茶をとりに来ていた。

ポット一つにティーカップは二つだから、団長と部屋でゆっくり飲むのだろうとわかる。

ルーナさんは初めて見た時より、表情が明るくなり、肌艶も良くなっている。

団長に愛されているのが一目瞭然だ。

このまま、何事もなく早く結婚してほしいと思う。

団長には恩があるから、本当に幸せになって欲しい。


そんないいことを考えているのに、こいつの視線は目障りだ。

オーレンさんが、こいつにアルベルト殿下の水を準備し、渡しているから恐らくアルベルト殿下の従者なのだろう。


こいつには見覚えがある。

俺と同じ出身だ。

俺もオルセンも、孤児院にあるもう一つの施設で、幼い頃から訓練を受けて育った。

潜入等の術もそこで見につけた。

そして、毒の耐性をつける為の訓練もした。

毒を少量ずつならし、少しずつ耐性をつけたのだ。

俺はその中でも優秀だった為、オルセンは特に敵視していた。

その後、カイル団長と出会い引き取って下さった為、俺は施設から抜け出せた。


ルーナさんと団長の部屋に行き、ルーナさんが着替えに出た為、アルベルト殿下の従者のことを話した。


「団長、アルベルト殿下の従者は俺と同じ孤児院のあの施設の出身のやつです。」

「本当か!?」

「間違いないです。いつも俺を敵視してましたから覚えています。そんな身分のやつが、あのアルベルト殿下の従者になるなんておかしいですよ。」


団長は、考え込むようにしていたが、気になることがあるのか話し出した。


「実は、グレイ達に筆頭公爵の一人に加わって欲しいと頼まれている。アルベルト殿下を残し、ミランダ王女を城から出そうという動きがあるらしい。」


団長の話では、アルベルト殿下が子が出来なくても、一度はアルベルト殿下を王位につけようとする筆頭公爵がおり、王室内でも揉めているらしい。


「どちらにしてもミランダ王女を城から出すのはマズイのでは?大体俺からすれば、殿下の具合もよくわからないし、あの従者自体が胡散臭いですよ。俺は昔一度あいつに殺されかけてますからね。」

「従者のいないところで、殿下と話せるか?」

「寝静まった後なら行けます。従者の部屋は使用人部屋ですから。」

「なら、行ってくれ。このままでは寝覚めが悪い。グレイ達を助けてやれ。」

「アルベルト殿下を助けることになりますよ。」

「もう誤解は解けている。それに何があってもルーナは誰にも渡さん。ルーナは俺のだ。」


それを聞いて安心した。


深夜、皆が寝静まった後、アルベルト殿下の部屋に行った。

勿論こっそりと誰にも見られずに。


「アルベルト殿下、起きて下さい。」


寝ているアルベルト殿下を起こし、話を聞くことにした。


「君はヒューバートか、何の用だ。」

「殿下、内密の話です。」

「何の話だ?」

「単刀直入に聞きます。何故あのオルセンを従者に?」

「オルセンを知っているのか?」

「知っています。殿下の従者をするような身分ではないですよね。」

「あれは、私が忍びで出る為にリーマス公爵がつけてくれた。腕があるという理由だ。」


忍びの為に護衛も兼ねてかと、納得できる理由はある。


ナイトテーブルを見ると、水差しと薬がある。

病気なのは間違いないのだろう。


殿下にリーマス公爵の話を聞くと、いつも殿下の味方だったらしい。

そして、リーマス公爵の娘を殿下の相手にしようとしたが殿下は誰とも結婚しないと、断りを入れたと話した。

今の医師も、薬学に強い医師をリーマス公爵が殿下の医師に加えたと話してくれた。


絶対怪しい。

従者のオルセンを見なかったら、気にもしない情報だっただろうが、見てしまった。


とりあえず、王都の城に行き、気になることを調べることにした。




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