二人の夜を過ごしました
食堂に着くと、騎士様の方々がすでに食事をされており、カイル様に連れて行かれた場所には、カイル様の騎士団の方々がいた。
「皆様、お疲れ様です。とても素敵でした。」
「ありがとうございます!」
席につくと、カイル様が私を呼びにくる前にサンドウィッチとスープを頼んでくれて、すぐに食事ができた。
皆様は、カイル様と同じで、沢山食べていた。
私のサンドウィッチも量が多くて、食べきれないと思ったが、一生懸命食べた。
「ルーナ、無理して全部食べることないぞ。試合の騎士の為に作っているから、量が多いんじゃないか?」
「すみません、少し多いです。」
カイル様と二人並んで食べながら話していると、騎士様達は和やかになった。
「ルーナ様、団長が出場出来なくて残念ですね。」
「そうですね。それにカイル様が観客の方々にも人気で圧倒されそうです。」
「団長やルーベンス様は特に、女性に人気ですから。」
本当に凄い黄色い声だったわ。
「カイル様もいつも手を振っていたんですか?周りの方々は喜んでいました。」
「あれはルーナに振ったんだ。」
「ルーナ様、団長はいつもは手を振りませんよ。」
だから、後ろの女性の方々は嬉しかったのね。
「カイル様は本当におモテになるのですね。」
「人気なのはルーベンスだろ。」
「先ほどの方々もカイル様に手を振っていましたよ。」
「さっき?ああ、当てつけかどうのこうのと言っていた者達か。知り合いか?」
「聞こえてたんですか?」
「意味はわからんが聞こえてはいる。」
「…カイル様は鋼の心臓ですね。」
聞こえているのに全く動揺してないのは凄い。
しかも意味がわからないって…。
スープをやっと飲み終え、サンドウィッチを頑張って二つ食べると、カイル様が足りなかったようで私の分も食べてくれた。
こんなに食べて何故太らないのか不思議だわ。
カイル様には無駄な肉がついてない。
引き締まった体に逞しい体つきだ。
カイル様を見ていると、やはり私では釣り合わないと思ってしまう。
休憩時間も終わり、席に戻ろうとするとやはりカイル様が送ろうとしてくれたが、断り一人で戻った。
何となくさっきのが引っ掛かり、一緒には戻れなかった。
もしかしたら、ここで堂々と一緒に戻るべきかもしれないけど、私にはそんな度胸がなかった。
午前と同じ席に戻ると、何も言われなかったが、後ろの視線が痛い!
絶対に見てる!
うぅ、負けないように頑張らないと!
私は一人、後ろの視線と戦っていた。
午後の部は、決勝戦で、午前ほどは長くない。
優勝者が決まり、閉会式で優勝者には賞金が送られた。
閉会式が終わると、カイル様は皆様とは違い何故か私の方に歩いてくる。
まさか、私の所に来る気ですか!?
まだ観客はいますよ!
思ったとおり、カイル様は私の前にきた。
私の目の前には、私の腰位の壁がある。
壁越しにカイル様に呼ばれた。
「ルーナ、こっちに来てくれ。」
「は、はい!」
私は一段降りて、カイル様の近くに行った。
「ルーナ、手を出しなさい。」
「な、何でしょうか?」
おずおずと、手を差し出すとカイル様私の手を掴み、手の甲に口付けをした。
見てます!皆様見てますよ!
「すぐに迎えに行くから、待ってなさい。」
カイル様は、周りの視線は気にせず、颯爽と去って行った。
私は、顔が真っ赤になった。
思わず、ショールを頭からかぶり、カイル様が来るまで、そのまま雪だるまのように丸まり動けなかった。
「ルーナ、何をしているんだ?」
カイル様の声に、ショールから少しだけ顔を出した。
「カイル様、恥ずかしいのはなしです。」
「ルーナは婚約者だ。問題ない。」
カイル様が手を引き立ち上がると、気がつけば、後ろにいた女性達はいなかった。
「さぁ、行くぞ。」
「はい、帰ります。」
私の言葉にカイル様は無言になった。
「あの、どうされました?」
「…実は、ホテルを一部屋取ってある。」
「…一部屋?今日は邸に帰らないんですか?」
「たまには、二人だけもいいだろう。」
「わかりました。」
それで、オーレンさんもハンナさんも連れて来なかったのか、とわかった。
一部屋といっても、カイル様がとる部屋だから、続き部屋もあると思った。
カイル様と行ったホテルは、やはり高級そうだった。
でも、部屋に行くと、びっくりした。
本当に一部屋だった。
続き部屋なんてない。
荷物も、いつの間にか部屋にある。
「着替えも送らせておいた。」
準備がよすぎます!
これは、まさか期待しているのでは、と頭が一杯だった。
気がつけば、夕食も終わり夜だった。
「カイル様、お風呂も一つしかありませんっ。」
「一緒のを使えばいいだろう。」
「いい、一緒には入れません!」
「一緒には入らないが、一緒がいいのか?」
「む、無理です…」
「なら、先に入りなさい。」
カイル様に言われて、逃げるようにお風呂に入った。
今日こそ逃げられない!
でも、カイル様は人気だった。
いつまでも、お待たせすると他の方のところに行ってしまうかもしれない!
必死で心の準備をしようと何度も深呼吸をした。
何を考えているのか、泡々になるまで体も洗った。
動悸が止まらないまま、出るとカイル様はお酒を飲みながら待っていた。
「で、出ました。」
「では、次は俺が入るから、待ってなさい。」
カイル様が額に軽く口付けをして、淡々とお風呂に行った。
そして、カイル様が出てきた時、私は固まってしまった。
そして、お風呂上がりのカイル様は、色っぽく見え、後ろを向いてしまった。
後ろから抱き締めてくると、動悸が止まらない。
それでも、カイル様は耳元で話しかけてくる。
「まだ、無理か?」
「わ、私、初めてですからっ…」
「当たり前だ。他の男を知る必要はない。」
うぅ、どうやって、カイル様を受け入れると言ったらいいのかしら!
私にはカイル様以外は考えられない。
でも、何と返事をしていいのかわからない!
「何も言わないなら、このままベッドに連れて行くぞ。」
私は、言葉にだせずカイル様の腕の中で、目をつむったままコクンと頷いた。
カイル様は、頷いたのがわかり、一瞬で私を抱き抱えベッドに下ろした。
目を開けると、カイル様の顔が目の前にある。
その真剣で、どこか艶顔を見ると、もう止められることはないとわかってしまった。
「その可愛い顔をするのは反則だな。」
「そ、そんなこと…ないです…」
「ルーナ、愛してる。」
「私もです…」
そのまま、私はカイル様を受け入れ、二人の夜を過ごした。




