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デビュタント後の休息

デビュタントから2、3日は王都でゆっくりするつもりだったが、アルベルト殿下が不意打ちで来られてはたまらんから、翌日には、王都を離れた。


ルーナはミランダ王女とお茶会をしたかったらしいが、王都の別邸ではなく、いずれ邸に来てもらうことにした。


「カイル様、お休みはどうしますか?」

「行きたいところはあるか?また観劇でも行くか。」

「行きたいです。ぜひ連れて行って下さい。」

「では、明日予約を取ろう。」

「普通の席でいいですよ。」

「ルーナとはゆっくりしたいから、前と同じ席を取る。」


ソファーに座っているルーナの膝に寝転がり、ゆったりとした時間が居心地がいいと思っていた。


「カイル様は背が高いですから、寝転がるとソファーから足が出ますね。お疲れになりませんか?」

「このままがいい。」


二人でいる時間に満足していると、オーレンが、速達が来たと手紙を持って来た。

ミランダ王女からの手紙だった。


「カイル様、ミランダ王女がグレイ様とアルベルト様と三人で今日の夜につくそうです。」


何でアルベルト殿下まで。

殿下でなければ追い出すところだ。


「しょうがない、部屋を用意するか。」

「ミラ様のお部屋の花は私が準備してもいいですか?」

「構わないが、なら今から一緒に採りに行こう。その前に、オーレンに部屋割りを伝える。いずれ結婚したらルーナもすることになるから来なさい。」

「はい。」


グレイ達には、ベッドの二つある部屋にし、アルベルト殿下はとにかくルーナの部屋から離れたところにした。

我ながら大人げないとは思うが、しょうがない。

どうせなら、ヒューバートも巻き込んでやろうと思った。


薔薇園に行くと、ルーナは黄色の薔薇を選んでいた。


「ミラ様はお元気な方ですから、きっと黄色が似合いますね。グレイ様はどんな薔薇がお好きでしょうか?」

「グレイは薔薇に興味はない。」


グレイと薔薇の話なんかしたことない。

俺もルーナがいるから薔薇を飾る気になったんだ。


「ミラ様の結婚のお祝いは何を贈りましょうか?どんなものを贈るのが普通ですか?」

「銀食器か、それともシャンパングラスとか色々あるな。いずれ、カタログを持って来させるからその時に選べばいい。」


ルーナは話しながら、黄色の薔薇を両手一杯に抱えていた。


「ルーナ、薔薇で顔が埋もれそうだぞ。かしなさい。」

「カイル様は力持ちですね。」


グレイ達の部屋にルーナが花を生けた後は、ヒューバートも招待するのにルーナと騎士団に行った。

ヒューバートは、面倒臭いといい、嫌そうだった。


「俺、平民なんですけど。何で王族の方と食事しないといけないんですか。」

「グレイも来るから、とにかく来てくれ。」


とにかく、巻き込んでやろうと思いヒューバートは強制参加とした。


「ヒューバート様は貴族じゃなかったんですか?」

「何故だ?」

「カイル様と仲がいいですし、昔ながらのご友人かと。」

「付き合いは確かに古いな。信用している。」

「ご友人がいるのはいいですね。私もミラ様と仲良くなりたいです。」


確かに、ルーナには友人が今まで一人もいない。

そう思えば、あのミランダ王女の活発さはルーナには合うのかもしれない。


「カイル様、今日は歩いて帰りませんか。」

「疲れるぞ。」

「たまには一緒に歩きたいのです。」

「…ルーナが疲れたと思ったら、抱えるぞ。」

「疲れません。頑張って一緒に歩きます。」


夕食にはグレイ達がつくが、ルーナといると憂鬱な気分がなくなりそうだった。




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