公爵様も嫉妬します
やっと一曲終わり、アルベルト様が手を引き、カイル様の元へ戻ろうとすると、カイル様は怖い顔だった。
カイル様の元にたどり着く前に、カイル様は私の所に来て、グイっと引っ張り抱き寄せた。
「カイル様?」
「では、殿下、ルーナが疲れますので少し休ませます。失礼しますよ。」
いつの間にか、陛下はいなくなっており、ミラ様とグレイ様は呆然としていた。
「ルーナ、また会おう。」
「は、はいっ…失礼します。」
アルベルト様にまた会おうと言われ、歩きながら後ろを振り向き私は言った。
そのまま、足早に歩くカイル様に肩を抱かれたまま必死でついて行った。
庭に連れていかれると、もう夕方で日が落ちかかっており、薄暗かった。
「カイル様、どうされたんですっ!」
「何故、アルベルト殿下と踊った?」
「…断れませんでした」
「アルベルト殿下とのダンスは楽しかったか?」
「不思議なことに全く楽しくなかったです。」
「本当か?」
「一緒に踊ってすみません。でも、私にはカイル様だけです。」
カイル様は怒っているのだろう。
いつもと違い痛い位抱き締めてきて、外なのに力強いキスをしてきた。
「…っ、カイル様っ…」
「他の男に奪われてはたまらん。」
私を奪う人はいません。
変な声が出ちゃいますから、落ち着いてください!
「…っ、お、怒っていますか?」
「怒ってはいないが少し頭を冷やす。このまま、ここにいろ。もうホールに戻る必要はない。」
そう言われ、カイル様と二人庭の隅のベンチに座っていた。
頭を冷やすと言うことはやはり怒っていたと思う。
それくらい、私がアルベルト様と踊ったことが嫌だったのだろうか。
一度聞いて見たかったことを思いきって聞いてみた。
「カイル様はどうして私が好きなんですか?私が邸に来た時は、白髪みたいな髪で、服も綺麗ではありませんでした。とても好きになられるとは思いませんでした。」
どうしても聞きたくて、一生懸命話した。
「…髪も服も気にはならなかったが、ルーナを見た時可愛い娘だとは思ったが、正直怯えているように見えて困った。」
そうですよね。
あの時は本当に追い出されたと思いましたから。
「ルーナを探しに出たのも、心配だったからだ。俺のせいだと思った。見つけた時は安心したのと同時に守りたくなった。朝までいてくれたのも嬉しかった。」
「私もカイル様が助けに来てくれて嬉しかったんです。邸に連れて帰ってくれたのも嬉しかったです。」
「俺が怖くなかったか?」
「怖くありません。…多分私はあの時から好きになってました。」
「俺もだ。たった一晩でルーナが好きになった。」
カイル様に抱きつくと、そのまま抱き締めてくれるのがわかってしまった。
カイル様の顔がまた近付いてくる。
「…き、キスはダメですよ。変な声が出ちゃいますからっ…」
「それは変な声ではない。」
「…っ!」
そのまま、もうホールに戻らず二人で帰る時間まで二人でずっと一緒にいた。




