表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
57/127

デビュタント当日

デビュタント当日。

俺はルーナの支度を待っていた。


今日のルーナはきっと綺麗だろう。

しかし、ルーナが心の準備が出来ていないとは、気付かなかった。

あの時の雰囲気はなんだったのかよくわからん。

まさか、酒まで飲むとは予想してなかった。

あの日から、ルーナには酒を禁止している。

俺がいない時は、筋肉の話をオーレンにしていたらしいし、よくわからん時がある。


それに、ルーナは少しだけ社交的になった気がする。

良いことだと思うが、ルーナは可愛いからやはり心配になる。

他の男が近寄らないようにしなければならん。


「カイル様、お待たせしました。」


扉から出てきたルーナは、言葉に出来ないほど綺麗だった。


「ルーナ、綺麗だぞ。」

「ありがとうございます。カイル様のおかげです。」


ルーナをエスコートし、城のホールに行くとルーナは緊張していた。


「カイル様、デビュタントではずっと一緒にいて下さいね。」

「ダンスが終われば、ホールの庭に行くか?」

「庭があるんですか?」

「俺が社交界に初めて出た時は、面倒くさいから庭に逃げた。」

「じゃあ、今度は一緒に逃げましょうね。」

「そうだな。」


可愛いことを言ってくれる。

裾の長いドレスは歩きにくいかと思ったがルーナは優雅に歩いているように見え、この日の為に頑張ったのだろうと感心した。


先ずは、陛下に挨拶に行くことになり、名前を呼ばれるのを待っていた。

呼ばれる順番も決まっており、ルーナと俺は一番先頭で並んだ。


「ルーナ・ドワイス令嬢。付き添い人カイル・ファリアス公爵様です。」


名前を呼ばれ、ルーナをエスコートし陛下の前に行くと、中心に陛下が座り左右に王妃とアルベルト殿下。王妃の隣には一段下にミランダ王女とグレイが立っていた。


ルーナは緊張を隠し、ドレスの裾を少し持ち優雅にお辞儀した。


これで陛下へのお目通しは終わるはずだが、アルベルト殿下がルーナに声をかけた。

いや、入って来てからずっとルーナを見ているのに気付いていた。


「ルーナ、今日は一段と美しいですね。」


当然だ。

俺のルーナだ、と言いたい気持ちだった。


「ありがとうございます。」


ルーナはもう一度、お辞儀をして言った。


「陛下、では次の者が入りますので。」


そう言って、ルーナを連れて挨拶を後にした。


皆の挨拶が終わり次は、陛下の前でホールでダンスが始まる。

ここでも、ルーナと俺が一番最初に始める。


「カイル様、私上手くできますでしょうか?」

「ルーナは上達したから大丈夫だ。」

「…皆様がカイル様を見てますね。失敗したらどうしましょうか。」

「皆が見ているのは、ルーナが綺麗だからだ。」


確かに、俺が社交界に来ているのは少なからず噂になるとルーベンス達も言っていた。

一緒にいるルーナも注目しているのだろう。

だが、キャバリエ達がルーナに注目しているようで、不愉快になりそうだった。


「ルーナ…」


ルーナを呼び、振り向くと同時に、ルーナの額に軽くキスをした。


「カ、カイル様…?」


これで、他の男が近付かなければいいのだが。


「ルーナ、扉が開くぞ。一緒に来なさい。」


一斉に音楽が流れ始める。

頬を染めているルーナを見つめながら、ダンスホールの中心にエスコートをした。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ