王女様と仲良くなりました!
翌朝目が覚めると、ルーナが腕の中にいた。
まだ寝ており、寝顔が可愛いくて見ているとルーナの目がゆっくり開いた。
「おはようルーナ。」
「お、おはようございます。」
まだ一緒に寝るのが慣れないのか、ルーナは恥ずかしそうにしていた。
王都に来ているから、丁度いいと思い今日は城に行くことにした。
ファリアス公爵の名前だとすぐに謁見は通り、アルベルト殿下に会いに行くと陛下にも会えることになった。
挨拶をすると、隣のルーナも優雅にお辞儀した。
「久しぶりだな。カイル。ルーナ。」
「殿下、留守中にルーナとお会いしたそうで。」
「ルーナには世話になったんだ。」
「お詫びの品を頂いたそうで、礼を言いに来ました。」
「その為に来たのか。」
「それと少し早いですが、すぐにルーナが16歳になるので、陛下に婚約の報告に来ました。」
「本当に婚約するのか?」
「します。」
その時、陛下がやって来た。
ルーナと二人で陛下にも挨拶をした。
「陛下、こちらが婚約者となるルーナ・ドワイスです。」
「お前もとうとう結婚か。」
「はい、ルーナの誕生日が来たらすぐに発表します。」
「ミランダとグレイの婚約発表も今日の新聞にのるだろう。結婚は二人の後で構わないか。」
「心得てます。」
「ミランダの結婚式もすぐにする予定だ。二人で来なさい。ミランダにも会って行くか?今ならグレイもいるぞ。」
「そうですね。挨拶に行きます。」
陛下に言われせっかくだからミランダ王女にも挨拶に行くことにした。
それにしても、アルベルト殿下が忍びでルーナに会いに来たから、もっとルーナに話かけるかと思ったが、用があると言いさっさと下がったのには少し驚いた。
本当に詫びだけに来ていたのかと思うほどあっさりしていた。
俺が考え過ぎていたのだろうか。
「ルーナ、アルベルト殿下をどう思う?」
「アルベルト様ですか?王族の方ですね。」
そうではない。
王族なのは知っている。
ルーナとアルベルト殿下がどう思っているのかが聞きたいんだ。
「…王族だが…人としてはどうだった。」
「?、よくお話する方でしたよ。」
何故きょとんとする。
遠回しに聞きすぎたのだろうか。
全く通じてない気がする。
「カイル様、あの方はグレイ様ではないですか?」
ミランダ王女の住む城の一画の宮の長い廊下を歩き、気が付けば部屋の一つからグレイが出てきていた。
グレイも俺達に気付いたようで、お互いに声をかけた。
「今からミラのドレスの合わせをするらしく追い出されたんだ。」
「もうウェディングドレスができてるのか?早いな。」
「前から作っていたらしい。」
「随分結婚を急ぐな。何かあるのか?」
「よくはわからんが、すぐに結婚できるのは俺にとっては有難い。陛下の気が変わられては困るからな。」
そう言いながら、グレイが扉を開けミランダ王女に声をかけた。
「まあグレイ、まだドレスは見てはいけませんよ。」
「ミラ、カイルと婚約者のルーナ様が来た。」
まだミランダ王女はウェディングドレスに着替えてなく、ルーナと二人で挨拶をした。
「まあ、あなたがカイルの婚約者。グレイから聞いてましてよ。良かったら今からウェディングドレスを合わせるんです。一緒に見ません?」
「いいのですか?」
「勿論よ。グレイとカイルは部屋から出て下さいね。」
ミランダ王女は活発な方で、押しきられるようにルーナを残し、グレイと二人で部屋から出された。
「ミラは朝からテンションが高いんだ。悪いな、カイル。」
「まあ、ミランダ王女なら構わないが。」
ウェディングドレスにテンションが上がっているのだろう。
ルーナにも早く作ってやらねばと思った。
グレイと二人近くの部屋に行き、二人を待つことにし、アルベルト殿下のことを聞いてみた。
「ミラにも聞いたが、最近公務が減っていること位しか知らないそうだ。忍びであちこち行っているらしいが。ルーナ様のことは気にし過ぎじゃないか?」
「それならいいが。」
アルベルト殿下がルーナのことを気にいられては困るが、周りは気にしてないようだった。
二人で話していると、ルーナとミランダ王女がやってきた。
「お待たせしましたわ。」
「カイル様、ミラ様のウェディングドレスは素敵でした。凄くお似合いでした。」
いつの間にか、ルーナはミランダ王女をミラ様と呼んでいた。
仲良くなったのだろう。
「カイル、ルーナは可愛いですわね。私達友達になりましたのよ。」
ミランダ王女はどうやらルーナが気に入ったようで、ルーナも楽しそうに見えた。
「カイル、ルーナにも早くウェディングドレスを作った方がいいですわ。私、絶対結婚式に行きますから。」
「そうですね。ルーナ、すぐに作るか?」
「デビュタントがもうすぐですからその後にお願いしてもいいですか?」
「構わないよ。」
ルーナの嬉しそうな顔を見ると、俺もルーナのウェディングドレス姿が楽しみになった。
「ルーナ、凄いですわ。あの無表情のカイルが笑ったわ。グレイ見ました。」
「ミラ、カイルはルーナ様には態度が違うんだ。」
グレイとミランダ王女は俺の顔を見て、にやけるように笑った。
「ミラ様、カイル様が笑うのを見たことないんですか?」
「ないわ。初めて見たのよ。」
ミランダ王女に聞いた後、ルーナは何故かじっと俺を見た。
「どうした。」
「…他の方の時は笑わないんですか?」
「意味もなく笑いはしないな。」
「ルーナ様、カイルが笑うのはルーナ様だけですよ。」
グレイの言葉にミランダ王女が、まあ、と笑いだし、ルーナも少し微笑んでいた。
二人で城を後にし、ミランダ王女のことをルーナが話した。
「ミラ様に、カイル様とグレイ様は友人だから私達も仲良くしましょうと言われました。凄く感じのいい方で沢山お話しました。」
「楽しかったか。」
「はい、ミラ様のドレスも本当に素敵でしたよ。」
「ルーナにもすぐに着られる。」
「嬉しいです。カイル様のお姿も楽しみです。」
アルベルト殿下のことは少し心配だったが、ルーナとミランダ王女が仲良くなり良かったと思った。
明日には王都から邸に帰る。
明後日はルーナの誕生日だから、急いで準備をしなければならない。
誕生日は二人だけで祝う。
これでやっと、正式に婚約が出来る。
帰ったら、頼んでいた指輪をすぐに持って来させようと思った。




