夕食は皆で
夕食には、カイル様の友人のグレイ様とルーベンス様と昼寝から起きたヒューバート様の五人で食事になった。
カイル様の友人達との食事は初めてで緊張してしまっていた。
いや、キスマークが気になり真っ赤なままだったと思う。
でも、誰も突っ込まなかった。
カイル様はいつもの表情に戻っており、私は一人動悸と戦っていた。
「皆、良い友人達だ。堅苦しくする必要はないぞ。」
「わ、私も一緒で本当にいいのですか?」
「皆にルーナを紹介する。」
ご友人達はカイル様と仲がとても良いようで、皆にこやかに迎えてくれた。
食事の席も笑顔が絶えない感じだった。
「カイルに婚約者がいると聞いて一度お会いしたかったんです。愛想のない奴ですが、お困りはありませんか?」
グレイ様が言った。
「い、いえ、そんなことないです。カイル様は凄くお優しい方ですので。」
今度はルーベンス様が言った。
「ヒューバートの言うとおり、カイルはルーナ様にベタ惚れのようだな。」
ベタ惚れ…。
カイル様の方を見ると、無表情ながら少し照れているように見えた。
「カイル様、べ、ベタ惚れですか?」
「聞かなくていい。」
カイル様は一気にワインを飲み干した。
「グレイ、カイルが照れるのは初めて見るな。」
「全くだ。」
いえ、カイル様だけでなく私も照れています。と言いたくなるほど恥ずかしくなっていた。
「ルーナ様、俺も近々結婚します。ぜひカイルと出席して下さい。」
「ルーナ、グレイはミランダ王女と近々結婚するんだ。」
グレイ様はどうやら、結婚するらしく満面の笑顔だった。
しかもお相手は王女様。
アルベルト様の妹様かしらと思った。
「ミランダ王女はアルベルト様の妹様ですか?」
「そうです。アルベルト殿下をご存知で?」
「実は俺が留守の時忍びでルーナに会いにきたそうだ。」
「アルベルト殿下が?最近公務を減らしているとは聞いていたが、街に来ていたとは知らなかったな。」
「ルーベンスも会ってないのか?」
「知らなかったぞ。」
「だが、近々デビュタントに出るなら、またアルベルト殿下にお会いするだろう。俺もミラと出席するつもりだ。」
どうやら、グレイ様はミランダ王女をミラと呼んでいるらしい。
ミランダ王女は王族として出席するから、グレイ様はミランダ王女のパートナーとして出席するのだろう。
「実は、陛下はミラとの結婚を早めに行いたいそうで、カイル達の結婚は少し後なるが、悪いな。」
「仕方ないな。結婚は少しずらすが婚約はすぐにするから、ルーナは心配するな。」
「はい。」
カイル様は公爵様で有名だからきっと新聞にものるだろう。
王族の方と結婚が重ならないようにするのは当然だし、きっと数ヶ月ずらすだけになるはず。
カイル様を見つめると、カイル様も見てくれた。
「やだなー。二人の世界を作らないで下さいよ。」
ヒューバート様の言葉に、前を見るとルーベンス様達もニコニコだった。
「カイル、ルーナ様は初々しくて可愛いな。」
その言葉にまた私は赤くなった。
カイル様はまたワインを一気に飲み干した。
きっと、これがカイル様が照れている姿なんだろうと思った。




