初めての痕に動悸が収まりません!
夕食前の着替えの時間になり、部屋に帰ろうとすると、カイル様が部屋まで送ってくれた。
ほんの少しの距離でも、側にいられることが嬉しかった。
「今夜はカイル様がいらっしゃいますから、綺麗に髪を結い上げましょうね。」
ハンナさんが部屋の前で待っていてくれ、そう言ってくれた。
ドレスに着替え、鏡の前で髪を上げると、首筋に気付いた。
首筋に赤っぽいというか、痣みたいな大きさの痕がある。
どこかにぶつけた記憶もない。
「ハンナさん、首筋に痣みたいのが出来てます。どうしたのでしょうか。」
「…お嬢様、それはキスマークです。」
「…っ!?」
これがキスマーク!?
さっきカイル様が私にしたやつ!?
〰️〰️っ!
鏡に映った自分が真っ赤になり、首筋の痕を手で隠してしまった。
「お嬢様、今日は髪をおろしましょうか。」
「す、すみません。」
なんだか見られるのが恥ずかしくなり、ハンナさんが髪で見えないようにセットしてくれた。
でも、髪で見えないが、動悸は収まらない。
用意が済み、ドアを少し開け覗くように見るとやっぱりカイル様は壁にもたれ立っていた。
「どうした。出てこないのか?準備はすんだんだろう。」
「そ、それがですねっ…」
動悸が収まらないまま、顔を真っ赤にしていると、ハンナさんが言った。
「カイル様首筋をご確認下さい。では失礼しますね。」
そう言うとハンナさんはスタスタと去った。
「何だ今のは。首に何かあるのか?」
カイル様が髪を上げ見ようとするが何だか隠してしまった。
「ルーナ、首がどうした。」
「恥ずかしいのです。」
カイル様が隠している私の手を外し、キスマークに気づくと、やっと意味がわかったのか、カイル様が少し赤くなった。
「…すまん、力を入れすぎた…」
カイル様が手を引き私を部屋から出すと同時に、ギュッと抱き締めてきた。
「…見られたら困るか?」
「こ、こ、困りませんけど、何だか恥ずかしくてですねっ。」
「髪で見えないから大丈夫だ。」
そのままカイル様は真っ赤な私を抱き寄せたまま、食堂に歩いて行った。




