再会
王都に戻り、グレイ達と陛下に報告に上がった。
グレイはこれで第1騎士団長になり、後日公爵位授与の式が行われる。
「カイル、後で邸に行くからな。」
グレイは、報告もかねて王女殿下に会いに行くみたいだ。
「カイル、もう仕事は終わりだろ。」
「ルーベンス、街は変わりなかったか。」
第5騎士団長のルーベンスも友人だ。
「街は大丈夫だが、婚約者ができたのか?」
「何故知っている。」
「婚約者のルーナ様が心配してたぞ。何故手紙の一つも出さないんだ。」
「戦に行ったことは知っているはずだ。」
「そうではない。心配するものがいるんだから、一度くらいは手紙を出せ。」
「そういうものか?」
「そういうものだ。」
戦に行っても、手紙を出すべきだったか。
今までしたことないから、言われるまで気がつかなかった。
「一緒に連れてきたから早く会ってやれ。」
「ルーナが来てるのか!?」
「待合室でお前を待ってるぞ。」
「早く言え!」
驚いた。
ルーナが会いに来てくれるなんて。
ルーベンスに言われるまま走って待合室に行くと扉の先にはルーナがいた。
「ルーナ!」
「カイル様!」
ルーナの姿を見ると思わず抱き締めてしまった。
どれほど会いたかったか今さらながらわかってしまった。
「俺に会いに来てくれたのか。」
「カイル様、ご無事で良かったです。会えて嬉しいです。」
腕の中にいるルーナが可愛いくてキスをしようとしたかったが、ルーベンスが驚き声をかけた。
「驚いたな。あのカイルがわき目もふらず婚約者を抱き締めるとは。」
一瞬ルーベンスがいることを忘れるほどルーナしか見えてなかった。
「カイル様、ルーベンス様が連れて来て下さいました。オーレンさん達もカイル様の別邸に来ています。」
「そうか、皆で来てくれたのか。ルーベンス、感謝するぞ。」
「お前は良い友人だ。気にするな。」
「ルーベンスも今日は俺の別邸に泊まってくれ。あとでグレイもくる。」
「仕事を終わらせたら行く。ルーナ様を早く連れて帰ってやれ。」
ルーベンスに礼を言い、久しぶりにルーナと歩いた。
別邸まで、馬車を呼ぶかと聞いたがルーナは一緒に歩きたいと言ってくれた。
「王都についた時、明日帰ると手紙を出したが遅かったな。さっきルーベンスに手紙ぐらい出してやれと言われた。もっと早く出すべきだったな。」
「私の方こそ押し掛けてしまってすみません。でも早く無事を知りたかったんです。」
「来てくれて嬉しかった。」
「私もです。会えて嬉しいです。」
ルーナに1日でも早く会えて、ルーベンスには感謝した。
会えて嬉しいと笑顔で迎えてくれたことがなんとも言えない気持ちになる。
「しばらく休みになるから、誕生日は二人で祝おう。」
「ずっとその日は一緒ですか?」
「ずっと一緒だな。」
よほど嬉しいのかルーナは頭を俺の腕に寄り添いしっかりくっついてきた。
このまま抱き上げて帰りたいくらい可愛いと思った。




