朝には部屋に帰ります
ナイトドレスに着替えた後、カイル様の部屋に行こうとしたが、今日はカイル様がバルコニーから私の部屋にやってきた。
「ルーナが遅いから迎えに来た。」
「…今日はこちらでお休みしますか?」
「そうする。」
カイル様がベッドに腰かけ、側に寄ると膝の上にのせてくれた。
「こ、これはちょっと恥ずかしいです。」
「ダメか?」
「…カイル様には負けそうです。」
そのまま、力強く抱き締められると、キスをしてきた。
「…メアリーが気になるか?焼きもちを妬いているのか?」
「そ、そんな気がします。」
カイル様が近すぎて、聞きたいことがあったのに忘れてしまいそうだった。
「正直、メアリーも含めて誰も好きになれなかった。ルーナだけだ。」
「一度もですか?」
「特にメアリーは部屋を変えろや贈り物を要求してきたりしてうんざりしていた。だから、何も贈ることもなかった。爵位を継いだからいずれは結婚しないといけないと思ったが、どうしても結婚を考えられる者がいなかった。」
それで婚約ではなく候補で受け入れたのかしら。
「でもメアリー様は綺麗な方でしたよ。」
「よくわからんが、正直綺麗と思えなかった。」
「そうでしょうか。」
「俺が綺麗だと思うのはルーナだけだ。」
私には、この部屋を準備して下さり、毎日のようにプレゼントして下さる。
特別と思っていいのかしら?
「メアリーや昔の女達のことに妬く必要はない。大事なのはルーナだけだ。」
「わかりました。変なことばかり聞いてすみません。」
「なら朝までいてくれるな。」
「勿論です。」
「明日もいてくれるか?」
「ハンナさんにバレませんか?」
「ハンナが来る前に部屋に戻る。」
気がつけば、私はカイル様の胸にしがみつくようにしていた。
そのまま、カイル様に流されるようにベッドに入れられ、何度もキスをされた。
「…っ、ね、寝るだけですよね。」
「寝るだけだな、」
ハンナさんが、16歳になるまでは大事になさいませ、と言っていたがその時はピンとこなかったがこの先のことを言っていたのかと思い出した。
でも、カイル様のキスを受け入れている自分にも気付いていた。
翌朝、目が覚めるとカイル様はまだ眠っていた。
「カイル様、朝です。起きて下さい。」
後ろから抱き締められたまま眠っていたようで、体を起こしカイル様を起こした。
「ハンナはまだだろ。もう少しいても大丈夫だ。」
カイル様は寝たまま腰に手を回して来た。
「すぐに来ますよ。」
カイル様は無表情だが眠そうに起き上がった。
私もベッドから降りようとすると、後ろから手を回しカイル様の頭が、私の肩に乗った。
顔が凄く近かった。
「カイル様のお休みの日はゆっくりしましょうね…」
「その日は朝ハンナに来させないようにする。」
少しだけそのままいてハンナさんが来る前にカイル様は部屋に帰った。
ハンナさんが来た時は私は真っ赤になっていたらしく、朝からハンナさんがびっくりしていた。




