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はたしてこれは尋問か

「カイル様、あの女性はお知り合いですか?」


レストランの個室で食事をした後、二人で街の中心の大きなツリーを見ながら聞いてきた。


「…気になるか?」

「あの…その…、すみません、気になります。」


メアリーのことは好きでも何でもないから、話しても大丈夫と思った。


「あれは、俺が初めて社交界に出た時のキャバリエをした女だ。メアリーは相手がいなかった為、主催者側から割り振られ、たまたま俺がメアリーについた。」

「でも、なんだか親しそうに見えました。」

「婚約者候補として来たのも、メアリーが最初だ。」

「カイル様の婚約者だったんですか?」

「候補だ。婚約などしてない。」

「じゃあお邸に一緒に住んでいたんですか?」

「何故そんなに気になるんだ?」

「気になります。それに、ハンナさんが気になることや困ったことがあればカイル様を頼るように言われました。」


違う。

これは違う。

頼っているんじゃなくて尋問しようとしている気がする。

ハンナは一体ルーナに何を教えているんだ。


「もしかして、お付き合いしてました?」

「…、メアリーの父親に頼まれてとりあえず付き合ったが、付き合っているというほどは続かなかったな。」

「メアリー様はカイル様のことがお好きなんですか?」

「よくわからんな。」


メアリーの話なんぞ、どうでもいいんだが。


「ルーナ、帰ったら今日は一緒に寝てくれるか?」

「毎日は、まだ心の準備が…」

「あの日一回だけで毎日ではないだろ。」

「…話をすり替えました?」

「すり替えてない。正直メアリーの話はどうでもいい。」

「…邸に帰ったら、着替えて行きます。」

「必ずだぞ。」


そのままルーナを抱き寄せると、頬に口付けをしてくれた。


「…帰ったら、またメアリー様のことを聞きます。」


だから、それは尋問だ。


「ベッドで他の女の話をしたくないのだが。」

「じゃあ、ソファーで聞きます。」

「…焼きもちを妬いているのか?」

「よくわかりません。」

「話と言っても何もないからさっきので全てだが。」

「本当ですか?」

「好きになったのもこれからも好きなのはルーナだけだ。」


ルーナは頬を染め、照れていた。


「他に何か買うか?」

「また話をすり替えました?」

「すり替えてないし、ルーナのことしか頭にない。」


随分今日は聞いてくるな、メアリーの何が気になるのかさっぱりわからん。

メアリーの話なんかより、ルーナを見ている方が、有意義な時間だと思っているのだが。


「…カイル様、帰りにツリーの飾りを買って下さい。一緒に飾れなかったので。」


ルーナが可愛いくて店中のオーナメントを買いたくなる気分になった。


オーナメントの店に行くと、ルーナは熊の人形をじっと見ていた。


「その黒い熊の人形がいいのか?」

「カイル様の黒髪に似てると思いまして。」

「では、こっちの銀色の熊と揃いで飾るか?」

「お揃いにして下さるんですか?」

「揃いで飾るのもいいだろう。」


邸に帰るとすぐに嬉しそうに熊の人形を出してきた。

少しでもルーナに触れたくなる。

オーナメントを飾るのに、小さなルーナを抱き抱えた。


「目立つ所に飾りなさい。」


飾ると二つ並ぶ熊が可愛いと思った。

ルーナも喜んでいるのか、微笑んで見ていた。

そのまま、離したくなくなり抱き抱えたまま部屋に連れて行った。


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