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贈り物をしたい

昼休み、ヒューバート達と昼食をとった後、残りの休憩時間は昼寝をすることにした。


「今日はルーナさん来ないんですか?」

「ルーナは今日はハンナと買い物だ。」

「ルーナさん可愛いから連れてくると皆、喜ぶから、たまには連れてきて下さいよ。」

「ルーナは見せ物じゃない。」

「いやー、皆団長を応援してるんですよ。」

「とにかく、眠いから寝る。時間になったら起こしてくれ。」

「夜寝てないんですか?」


ルーナのことを考えているせいで不眠とは言えん。


「どうせ団長のことだから我慢してるんでしょう。あんな可愛い娘が隣の部屋にいてよく我慢できますよね。」

「ケジメは大事だ。大体ルーナに嫌われたらどうするんだ。」

「拒否らないと思いますけどね。どうせ結婚するんだし。」

「まだ15歳だ。」

「眠れないなら安眠香でも買って来ましょうか?」

「勝手にしろ。俺は寝る。」


とにかく眠くて、そのまま執務室のソファーで眠った。





今日はハンナさんと買い物にきた。

持参金でカイル様に贈り物をしたかったからだ。


「お嬢様、こちらが時計店ですよ。」

「こちらでいつもカイル様はお買いになるんですか?」

「ええ、今の懐中時計もこちらで買いましたよ。」


お店に入ると、店主さんが、これはファリアス公爵邸の、とハンナさんに寄ってきた。


「いつもありがとうございます。今日はお嬢様がカイル様の時計を買いに来ましたの。」

「こちらの方は?」

「カイル様の大事な方です。よろしくお願いしますわ。」

「はじめまして、よろしくお願いします。」

「ファリアス公爵様の!すぐにお部屋に通します!」


カイル様の名前を出すとすぐに奥の綺麗な部屋に案内された。

こうやってみると、改めて思う。

カイル様はものすごい身分の方なんだと。

びっくりするほどのお金持ちだし、何で私なんかと婚約しようと言ってくれたのかわからない時がある。

カイル様のことを考えていると、気が付けば目の前のテーブルに懐中時計が並べられていた。


「ファリアス公爵様はシンプルなものを好まれています。」


確かにカイル様が派手な時計を持つイメージはない。

並べられた懐中時計をみると一つ目に止まった。

シルバーに黒盤の懐中時計だった。

カイル様の黒髪みたいだと思った。


「これにします。」


これならきっとカイル様に似合うと思った。

綺麗にラッピングしている間、店主さんが、お邸に届けましょうかと言われたがどうしても自分で持って帰りたかった。


次は、ナイトドレスを買いに行った。


「お嬢様のものはカイル様が買うと決めてますから、こちらではお金を出してはいけませんよ。」


ハンナさんに言われて、ナイトドレスは買って貰うことになった。


寝間着にも色々あった。

シースルーのものやシルクのものなど、大人っぽいのがありどれにしようか悩んだ。

ハンナさんは、店員さんに、お上品なものをお願いしますね。と言っていた。

結局、薄いピンク色のシルクのものと、ベージュ色のシルクのナイトドレスを二枚買った。

カイル様は、寝間着が変わったことに気付いて下さるかしら。

そんなことばかり考えながら、店を出るとヒューバート様に偶然会った。


「ルーナさん、買い物ですか?」

「はい、もしかして、カイル様も一緒ですか?」

「残念、いませんよ。団長は眠くて、休憩時間に寝てますよ。」

「カイル様はお疲れなんですね。」

「どうなんでしょう。」


もしかして、夜に会うのはお疲れなのかしら?

どうしましょう。


「ルーナさん、帰るならこれ団長の部屋で使ってやって下さい。」

「これはなんでしょう?」

「安眠香です。どうせ団長は薬とか飲みませんから。結構いい匂いがしますよ。」

「わかりました。カイル様のお部屋に持っていきますね。ありがとうございます。」


よく眠れるお香もあるのですね。

ヒューバート様から、箱に入った安眠香を受け取り、ハンナさんと馬車に乗り邸に帰った。

馬車の中でカイル様のことばかり考えていた。


夕べも私も眠れなかった。

カイル様は社交界で今まで他の方と踊られていた。

それはそうだ。

歳が違うんだから。

婚約までいかなかったにしても、きっとお付き合いした方もいるはず。

私はカイル様が初めてになるけど、カイル様はきっと女性も知っているはず。

…夕べの首筋が熱く感じる。

ああいう時、大人の女性はどうするのかしら。


邸に帰ってからも、一人部屋のベッドに転がり狼さんのぬいぐるみを抱き締めたまま、ずっと同じことを考えていた。

見たことも聞いたこともない女性を想像し、一人モヤモヤしている。

カイル様の過去を想像し、一人モヤモヤしているのはバカだと思う。

でもあんなに優しくて素敵な人をほっておく方々がいるのかしらと思うとまた同じことを考えてしまう。


ゴロンと横に転がると、紺色のリボンでラッピングされた懐中時計の箱が目に入った。


私が毎晩お邪魔しているせいで眠れないなら申し訳ないわ。

お部屋はいつでも入っていいと言われたから、安眠香だけ準備しましょうか。


そう思い、カイル様の部屋にヒューバート様から頂いた安眠香を持って行った。



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