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二人だけの練習

「オーレン、今年からツリーを飾ろうと思う。玄関ホールに入る大きなツリーを用意してくれ。」


部屋に帰り、タキシードを脱ぎながらオーレンに言った。

今まで、ツリーも飾らなかったがルーナが喜ぶかと思った。


「お嬢様がお喜びになりますね。」

「そうだといいが、あと、暖炉の火も強くしといてくれ。」

「お寒いですか?」

「俺は寒くないが…」

「もしかして、夜にお嬢様がお部屋にきているのですか?」

「二人で話しているだけだ。おかしなことはない。あとは頼むぞ。」

「はい、それとですね、」


くっ、ハンナみたいに、15歳ですよ、とでも言う気か。


「お嬢様に、デビュタントのダンスの講師が必要かと。」

「まだ先じゃないか。」

「しっかりマスターしてもらわねばなりません。カイル様もご一緒に練習されては?」

「…基本はできるぞ。」

「優雅に出来なければ、お嬢様のデビュタントには、キャバリエを用意して頂きますか?」

「他の男はダメだ。ルーナのエスコートは俺がする。」

「では公爵家に恥じぬようにお二人でダンスの練習をして下さい。優雅に、ですよ。」

「しょうがない。ルーナの為だ。」

「では、ごゆっくりお風呂をどうぞ。後で膝掛けも準備しておきます。」


ダンスの講師か…。

デビュタントには、良家の子息共も来る。

ルーナに近付かれては困るな。

俺も少し真面目にダンスを練習するか。


風呂から出ると膝掛けの他に、温かいお茶も準備してあった。

オーレンが気をきかせて、ハーブティーを準備したのだろう。


ルーナはまだバルコニーにいない。

膝掛けを持ち、バルコニーからルーナの部屋の窓をコンコンとノックした。

ルーナは今出るところだったようですぐに気付きバルコニーに出てきた。


「寒いから、これをかけなさい。オーレンがお茶を準備してくれている。一緒に飲もう。」

「はい。」


風呂上がりのせいか、ルーナからいい匂いがする。

釘を刺されたせいかよけいに意識してしまいそうだった。


ルーナがハーブティーをカップに入れてくれ、飲みながらデビュタントのダンスの話をした。


「ダンスの練習ですか?」

「陛下に挨拶をした後、ダンスをしなければならない。必要なマナーも覚えなくてはならないが、やってくれるか?」

「はい、カイル様もダンスをするのですか?」

「俺がルーナをエスコートする。他の男とは踊らなくていい。」

「カイル様も社交界に行っていたんですよね?」

「男は相手がいない令嬢に主催者側が割り振るからな。一曲だけ踊りあとは適当に逃げた。」

「そうですか。私一生懸命練習しますね。」


お茶を口にした後、ルーナが照れながら聞いてきた。


「す、少しだけ教えて下さい。」

「教えるほど俺も上手くはないが。」

「でも、他の方と踊られたんですよね。」

「まぁ、そうだな。」

「私もカイル様としたいのですが…。」

「…わかった。」


ルーナの手をとり、ソファーの後ろに連れていくと、しっかりと手を握りしめた。

もう片方の手をルーナの腰に当て寄せると、ルーナは益々赤くなっていた。


「ルーナのもう片方の手は、俺の肩に添えなさい。」

「は、はい。」


体を密着させると、寝間着のせいか薄着の為こっちまで赤くなりそうだった。

今まで、多くはないがダンスをしても、義務的でしていただけでこんな気持ちになったことはない。

やはり、心が動くのはルーナだけだと改めて思った。

こんな俺をルーナはどう思うだろうか。

軟弱だと思うだろうか。


「…凄く、くっつくのですね。…ドキドキしちゃいます。」


ルーナが可愛くて、そのまま思わず抱き締めてしまった。


「…今日は先に頬にしてくれないのか?」


ルーナは、頬にそっと口付けをし、俺もそのままルーナの頬や首筋にしてしまった。

ルーナが耳元で話すと吐息がかかるのを感じた。


「…明日も一緒に練習してくれますか?カイル様と一緒がいいです。」

「ああ、デビュタントまでは長い。毎日一緒にしよう。」

「はい…」

「今日はもう寝よう。部屋までこのまま送って行く。」


ルーナを抱き抱え、バルコニーを通り部屋へ歩いた。

ルーナは顔を見られたくないのかしっかり俺にしがみつき顔を隠していた。


ルーナが可愛くて、今日もやっぱり眠れそうにないなと思った。


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