街の見回り
「見送りしてくれるなんて、ルーナさん可愛いですねー。」
確かに可愛いかった。
ヒューバートが俺を見てニタニタしている。
「なんだ?」
「団長、顔がにやけてますよ。」
「俺はにやけたりなどせん。」
「しかし、よく銀髪だとわかりましたね。」
「どう見たって銀髪だろうが。」
「いやー、少し銀髪かなぁとは思いましたけど…。」
確かに艶はあまりなかったな。
邸に持って来たのも、古びたケース一つだったし…。
「…もしかして気にしていたのか?」
「女の方は髪を気にするでしょう。」
「そういうものか?だが、夜空に映えて本当に銀髪で綺麗に見えたのだが…」
「…団長、夜空にって、夜逢い引きでもしているんですか?」
しまった!つい言ってしまった!
「…」
「今さら隠さないで下さいよ!」
「…実は、隣の部屋にいるんだ。」
「隣?部屋の隣は元々逢い引き用の部屋だったのを団長が書斎にするって言ってたじゃないですか。」
そうだ。あの部屋は元々逢い引きや夫婦がこっそり移動するのに作られた部屋だが俺は移動しやすい用に書斎にするつもりだった。
だが、あまり邸に帰らずそのままになっていたのが、ルーナの部屋になったのだ。
「夜に逢い引きしてるんですか?…本当に犯罪はやめて下さいよ。俺引き取りに行くの怖いんですけど。」
「犯罪などせん!夜に二人で話しているだけだ!」
そうだ。二人で話しているだけだ。
昨日のも様子を見に行っただけで決して覗きの為ではない。
そう思いながら、今日は鍛練に励もうと思った。
騎士団内で汗を流し鍛練に励んでいると、団員達は、今日は街の見回りの時間だと準備を始めた。
見回り…。
ルーナ達が買い物に行った筈だ。
「団長も見回りに行きますか?さっきから鍛練ばかりですよ。」
ヒューバートは疲れたとベンチに座り込んでいた。
「ヒューバート、見回りに行くぞ。」
「やっと鍛練は終わりですね。」
もしかしたらルーナに会えるかもしれない。
そう思うと、急ぎ支度をした。
我ながらこんな事を考えるのは初めてだった。
「昼飯もこのまま外で食べますか?」
ヒューバートが見回りをしながら聞いてきた。
ルーナはどこにも見当たらない。
それもそうだ。
行く店も聞いてない。
偶然会えるはずもない。
「団長、昼飯はステーキでも食べますか?」
「好きにしろ。」
その時、ヒューバートに女二人が寄ってきた。
どうやら知り合いらしい。
「ヒューバート様、あの角で騎士様達が女の子に突っ掛かっているんですの!大丈夫でしょうか?」
どうやら、あの角で騎士の恥さらしがいるらしい。
俺の団員にはそのような者はいない筈だが。
「団長、行きますか?」
「あぁ、すぐに行くぞ!」
ヒューバートは女達に手を振り走ってきた。