やっと会えましたね
予定日を3日過ぎたが、この子はまだ産まれない。
でも、元気にお腹を蹴っている。
いや、殴っているのかもしれない。
夜中には、この子が蹴ると私がびっくりして目を覚ましてしまうほど元気だ。
「あなたもカイル様を待っているのね。」
まだ、お腹にいるこの子につい話かけてしまう。
その時、用事で騎士団に行っていたヴィンス様が慌てて帰って来た。
「ルーナ様!戦が終わりました!国の勝利です!」
「本当ですか!」
その時、またお腹がボコンと蹴られた。
「カイル様は先に王都に行かれますが、きっとすぐに帰って来ますよ!」
では、近いうちに会えます!
本当に無事で良かった。
あなたももうすぐ、お父様になられるカイル様に会えますからね。
そう思いながら、お腹に手を当てていた。
「ヴィンスさん、王都に手紙を出します。カイル様がついたら渡してもらえるように手配できますか?」
「ええ!すぐに出しましょう!」
それから、3日もたつとやっと継続的な陣痛がきた。
もう、夜だった。
二人の医師はいつでも出産に間に合うようにもう10日も邸で待機していた。
「ハンナさん、結構お腹が痛いです!」
「少し腰をさすりましょう!」
ハンナさんが腰をさすってくれたり汗を拭いたりしてくれた。
初産だから、時間が長くかかると言われ、今は痛みと戦っていた。
そんな時にハンナさんが側にいてくれるのはなんだか心強かった。
そして、本当に産まれそうになると、ハンナさんも部屋の外に出され私と医師達だけになった。
この時、オーレンさんやヴィンスさんは廊下をウロウロと落ち着かず、ハンナさんは祈るように両手を握っていたらしい。
そして、大きな産声が響いた。
元気な男の子だった。
「私とカイル様の赤ちゃんです。やっと会えましたね。」
私は痛みも忘れ、可愛い赤ちゃんを抱きしめ、一人呟いた。
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