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伝えたい方は側にはいない

カイル様が、戦に行かれてから4ヶ月。

戦は続いているが、無事とのことだ。


ヴィンス様がいるせいか、以前より情報が入っている気がする。


それにしても、最近だるいせいかよく眠くなる。

気になることもある。


「ルーナ様、果物をお持ちしましたが召し上がれますか?」

「はい、頂きます。…あの、それとハンナさんを呼んで頂けますか。」


オーレンさんがアフタヌーンティーの時間に果物を持って来てくれた。

食欲はなかったがこれなら食べれそうだと思った。

オーレンさんはすぐにハンナさんを呼んでくれた。


「ルーナ様、お呼びですか?」

「すみません、ハンナさん。実はお願いがあるのです。」

「はい、何でございますか?」

「あの…実はですね。い、医師を呼んで頂きたいのです。」

「どこかお悪いのですか!?」

「…その、月のものが、ずっときてないのです。」


ハンナさんは驚き、口を手で抑え、まさか、と一言呟くように言った。


「カイル様と最後の夜を過ごしてからですね、その、ずっとないのです。」

「すぐに呼びます!」


ハンナさんは飛び出すように、出ていった。

廊下には、ヴィンス様がおり、何事ですか?と聞きに来た。


ヴィンス様は、私がいる部屋の廊下に椅子とサイドテーブルを置き本を読みながらお茶を飲んでいた。

風通しもよく意外と快適らしい。


「…後で話します。」


ハッキリしてから話そうと思い、今は言えなかった。



それからすぐに、ファリアス家の主治医がやって来た。


思った通り、私は妊娠していた。


オーレンさんやハンナさん、邸の皆が喜んでくれた。

私の妊娠にこんなに喜んでくれるのかと、温かい気持ちを感じた。


でも、一番喜んで欲しい方が今はいない。

早く会いたい気持ちが募りそうだった。


「ヴィンスさん、今は戦は大変ですよね。」


カイル様が出陣してからはヴィンスさんと本や領地の話をよくするようになり、ヴィンス様からヴィンスさんになっていた。


「そうですね。今月は手紙もきてませんし…」

「ですから、まだカイル様には伝えないことにします。」

「いいのですか?」

「伝えてしまったせいで万が一のことがあってもいけませんし、カイル様は必ず帰ると信じていますから。私がお腹の子を守り必ず無事に産みます。ヴィンスさんは私と子供を守って下さいね。」

「必ずお守りしますよ。」


ヴィンスさんは座っている私の前で膝をつき一礼した。


懐妊がわかり、主治医の他に産科医も加わり、私の妊娠生活は順調に過ぎていった。


1~2ヶ月にくる手紙は待ち遠しく、短い文章だったが大事にした。

出陣する前に渡した刺繍入りのハンカチも懐に入れいつも持っているらしい。


私は待っている間も何かしようとヴィンスさんと相談し、戦に行き困っている家族に少しでも手助けができたらと、職の推薦状を書いたり、少しずつ活動していた。


その縁からか、邸の使用人が少しだけ増えた。







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