来る日まで
翌日の午前中にジュード様はやって来た。
話は予想通り、戦と関係あるものだった。
隣国との間にある中立地帯から難民が来ているらしい。
「カイルの領地でも受け入れてくれないか?難しいか?」
「大丈夫です。受け入れる準備をすぐにします。」
「陛下には?」
「支援を申し上げに行く。まだ少ないがこれから増えるだろう。」
戦は近いとわかっていても、痛感してしまいそうだった。
ジュード様はそのまま王都へ向かった。
陛下は恐らくすぐに動くだろう。
近いうちに出陣になる。
書斎でルーナが小作人のいない空き家や土地の書類を出し、机に並べ受け入れ可能な土地を二人に説明した。
「陛下から、難民の受け入れになると人材の派遣と支援があるはずだ。ジュード様に書簡を持たせたから、連絡があればすぐに使えるようになるだろう。」
「領地の方々には連絡は?」
「俺の名前で連絡をしておいてくれ。」
ヴィンスはわかりました、とすぐに仕事に取りかかった。
「ルーナ、庭で少し話そう。」
ルーナを庭のガゼボに連れて行き、二人で座り話した。
「ヴィンスは置いて行くから二人で待ってなさい。」
「そうですか。」
「前より随分落ち込んでいるな。大丈夫か?」
「昨日のこともありますけど…それに以前はあっという間に行ってしまったので。」
「今度は手紙もきちんとだすぞ。」
「手紙は嬉しいですけど、無事でいてくれたらいいのです。」
「負けるつもりはない。…行く前にまたハンカチに刺繍をしてくれるか?持っていきたい。」
「はい、すぐにします。」
ルーナと抱き合った後は薔薇園を散歩し、王命が来る日まで、二人の時間を大事にした。




