落ち込むこともある
「ジュード様!?」
「カイルか、意外と早かったな。その男がルーナ様によからぬことをしようとしたらしい。」
「ルーナはどこですか!?」
「部屋のトイレで吐いているんじゃないか?」
ジュード様の部屋を教えてもらい、部屋に行くと吐いた後なのかルーナは床に座り込んでいた。
「ルーナ、大丈夫か?」
「はい、もう大丈夫です。吐いたので少し楽になりました。」
まだ、顔色は悪く見える。
「何か飲まされたのか?」
「…ブランデーが入っていたと言っていました。」
「そうか、もう大丈夫だ。」
可哀想に、泣いていたのか目が赤くなっていた。
「あの、ヘイデン様とシャロン様は?」
「シャロンもグルか?」
「わかりません、でも、誘ってきたのはシャロン様でした…。」
廊下を見ると、ヘイデンが喚いていた。
隣にはヒューバートが立っている。
「ルーナ、少しだけ待てるか?今ヴィンスを寄越すから。」
「…わかりました。」
ヴィンスにルーナの所に来てもらい、ヘイデンの元に行くと、足をずっと抑えていた。
「足を骨折しているのでしょうね。そのデカイ花瓶が足に落ちてきたようですよ。」
ヒューバートが淡々と話した。
「ルーナに何を飲ませた?」
ヘイデンは、何も言わず歯を食いしばっていた。
「多分これですね。眠り薬です。まだ残っているということは全部は入れなかったのでしょう。」
ヒューバートが見せた薬包は、ヘイデンがグシャグシャにしたのか、きちんと折り畳まれてない薬包だった。
部下に指示し、ヘイデンを連行させた。
「ヒューバート、この状況を見た者はどれだけいる?」
「いい席だったようですが、個室ではなかったので、何人かはいます。」
「では、後のことは騎士団で話そう。聴取をしておいてくれ。」
次にジュード様に礼を言った。
「礼なら、明日のお茶に招待してくれ。」
「ルーナ目的ならお断りします。」
「それは残念だ。では、もう一つの話がしたい。明日は午後から王都に行くから、必ず午前で頼む。」
「わかりました。では、午前に邸にお越し下さい。」
ジュード様と明日の約束をし、ルーナはヴィンスと邸に帰らせることにした。
「一緒に帰りたいが、ヘイデンとシャロンの片付けをせねばならん。ヴィンスと帰りなさい。」
「はい、ご迷惑をおかけしました。」
「落ち込むことはない。なるべく早く帰る。少し寝てなさい。」
ルーナはわかりました、と抱きついてきたがすぐに離れヴィンスと邸へ帰った。




