燃やしてしまいましょう!
ケネスは子爵で商会を営んでいる家だ。
両親が他界し、跡を継いでから少しずつ悪い噂が立ち始めていた。
女好きで、金使いが荒くなり、財産を食い潰していると噂もある。
悪い連中との付き合いも噂されていた。
おかしなものを売っていると噂も出始めていた。
ケネスの相手の女性達は浮気がバレたくないのか、口を割るものはいなかった。
だが、今日ルーナが見てしまった。
ルーナは気付いてないようだったが、渡していた包み紙は良くないものだろう。
明日ケネスの降格をする予定だが、その後は捕まるだろう。
ライナス様は騎士団長の逮捕を懸念していたから、騎士を退団させてから捕縛するはずだ。
気がつけば、すでに酒が半分以上も飲んでいた。
ルーナはまだ来ない。
夜の支度は一人ですると言っていたから時間がかかるのかと思った。
しかし、遅い。
まさか、疲れて一人で寝ているのかと思った。
迎えに行くと、ルーナはナイトドレスに着替え立っていた。
何かの箱を開け、呆然としているように見えた。
「ルーナ、どうしたんだ?その箱はギリンガム伯爵夫人から頂いたものか?」
声をかけるとルーナは箱を勢いよくバンと閉めた。
何故か顔も赤い。
「何を貰ったんだ。」
「み、見てはいけません!危険です!」
危険なら尚更確認が必要だ。
ルーナから箱を受け取ろうとすると、抵抗してきた。
だが、ルーナの力では抵抗は虚しく箱を受け取った。
「カイル様、危険です。見てはいけません。見ないで下さい。」
ルーナは顔を隠すように抱きついてきた。
箱を開けると、ルーナが絶対に着ないような下着に、閨の本があった。
閨の本は貴族が閨教育で使うようなやつだろう。
子作りのことも載っているはずだ。
「カイル様!そんな下着は燃やしてしまいましょう!危険です!」
「何でこんなものを?」
「お茶会でですね。色々話していまして、」
茶会?
一体茶会で何の話をしているんだ。
「わ、私がですねっ、閨教育を受けてないと話していましてっ、」
ルーナはこれが精一杯なのか、しどろもどろだった。
しかしこれをどうしろと?
確かにルーナが着ると可愛いかもしれんが、ルーナが嫌なら無理だろう。
「…カイル様、そんなに見てはいけません!」
俺にしがみついて見上げるルーナが必死で言った。
その顔はやはり可愛い。
「ルーナ、少し落ち着きなさい。」
「はい、暖炉に放り込みますか。」
「だから、落ち着けと。」
「暖炉の薪を増やしますか?」
ルーナは、燃やすことしか考えてないな。
いつも付けている下着と違うからと、取り乱し過ぎだ。
「ルーナ、これくらいなら付けている女性はいる。少し派手な色かもしれんが、慌てることはない。嫌ならしまいなさい。」
「だって、このナイトウェアは真っ赤で透けていますよ。皆こんなの着るのですか!?どうして、知っているのですか!?」
そこを突っ込むか。
「…貴族の嗜みだ。」
「間がありました!」
「とにかく、なかったことにしなさい。」
とにかく、ルーナを落ち着かせ、そのまま、箱にしまい邸に帰ったら封印することに決めた。
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