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ファリアス公爵邸

私、ルーナ・ドワイスは2ヶ月後には16歳になる。

伯爵の父は一年前に他界したが、何の思いもない。

ただ呆然と見てただけなのを覚えている。


この邸は今は父の後妻のエイダが女主人で仕切っている。

ゆくゆくはエイダの連れ子の息子ディルスが継ぐのだろう。


二人は私にさっさと出ていって欲しかったのが普段からよくわかっていた。

二人は使用人に頼まずよく私に部屋の掃除やお茶入れをさせていた。


髪の手入れや身だしなみも満足に出来ず、銀髪は、艶のないボサボサの白髪のようになり、二人はよく私を嘲けり笑い品がないと言っていた。

でも私もそう思う。

こんな白髪のような娘をきっと誰も欲しがる人はいない。

小さな手鏡を見てそう思っていた。


今日も継母に呼ばれ、書斎へ行った。


「ルーナ、結婚相手が決まったわよ。今日からファリアス公爵の所に行くのよ。」


どなたかわからず呆然としてしまった。

すると、義兄のディルスがニヤニヤと話した。


「ファリアス公爵は騎士団長の一人だ。戦で武功を上げ、今は王都にいる。結婚相手を探しているから、婚約者候補としてファリアス公爵の邸に今日から行くんだよ。」


「結婚の為に婚約者候補として行くのですか?」


「わかったら、今すぐ行きなさい。馬車位は出してあげるわ。」



そう言われ、すぐに支度をするが持っていく物もない。

今着ている服にあと二枚だけ、しかも二年前にお父様が適当に買ったものだけ。

貧相な体だから二年前の服でも合うが胸は大きくなっていき、少し胸回りのみがきつい服だけだ。


思い出の品もなく、身一つで行くのだ。


ケース一つの荷物を使用人が持ってくれる訳でもなく、一人抱えて馬車に乗り込む。


自分が住んでいた邸なのに、何の未練もなく、振り向くこともなく馬車は出発した。


ファリアス公爵の婚約者にもなれなかったら私はどこに行くのだろう。

仕事はすぐに見つかるのだろうか?

家には帰れないし、帰る意味もない。


これからの生活が不安で一杯だが、誰にも私の気持ちはわからず、ファリアス公爵の邸に向かっていた。



ファリアス公爵の邸につくと、執事のオーレンさんと言う方が迎えてくれた。


「初めまして、ルーナ・ドワイスです。よろしくお願いいたします。」

「執事のオーレンです。よろしくお願いいたします。」


挨拶をすると、少し驚いたように見えた。


「お荷物は後で届くのでしょうか?」

「…届きません。これだけです。」


きっと呆れているだろうと思い、オーレンさんの顔が見れず下を向いてしまった。


「ではそちらの荷物をお運びします。」

「…自分で持てます。お気になさらず。」


荷物を断ったがオーレンさんはヒョイと荷物を持ち部屋に案内した。


案内された部屋は小さな部屋だった。


「こちらのお部屋をお使い下さい。カイル様は、夕方にはお帰りになりますので。」

「カイル様?」

「カイル様の婚約者候補では?」

「…名前を知りませんでした。すみません。」


オーレンさんは、書斎や庭は好きに歩いていいと言うと部屋を出ていった。


名前も知らずきた私にきっと呆れたのだろう。

カイル様もいくら婚約者候補だとしても、邸にいないなんてきっと乗り気ではないと思った。


皆きっと人でなしなんだわ。


そう思いながらベッドに大の字で転がった。




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