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チョロイ

 ネットで流れてきた広告?かなんかで知ったんですが朝起きた時に口の中で繁殖してる雑菌の数って大きいほうの排泄物に入っている雑菌とほぼ同じらしいです。しょっぱなから汚い話してすみません。


 では、本編でどうぞ。

 「はあはあ、ゆうのせいで朝から無駄に疲れたじゃないか」


 「こう君が大人しくしてればよかったんだよっ」


 何とか校内まで走って逃げっ切った康貴の付いた悪態に夕夏が頬を膨らませながら返す。


 「くっ付くなって言ってるのに無理やり来るからだろ」


 「無理やりじゃなかったらいいの?」


 「そんな状況になることがあればな」


 朝から走らされて不機嫌になった康貴はぶっきらぼうに応え教室に向かって歩き始めた。


 「怒ってる?」


 夕夏も同じクラスなので康貴を追従しながら声を掛ける。


 「別に、怒ってない」


 明らかに不機嫌な声で言うので全く説得力が無い。


 そんな康貴に夕夏は後ろからそろ~っと接近して、


 「ごめんねこう君」


 夕夏は自分の目線より少し下にある康貴の頭に手を伸ばし撫で始めた。


 「なっ、ちょっ、やめっ」


 突然の夕夏の行動に康貴は反応できず、動揺しすぎて抵抗もできずされるがままになっている。そして、今いるのは校内であり当然他の生徒もいるわけで、


 「おい、あれ見ろよ。新川のやつまた鈴原さんにあんなことをしてもらってるぞ」


 「くそっ、うらやましい!」


 「新川コロス新川コロス新川コロス」


 周りの男子生徒の視線が康貴に突き刺さる。女子生徒は特に何も言っていないがこちらはこの夕夏の行動の本質を理解しているのか、生暖かい眼で観察している。


 そんな生徒たちの視線を受け正気に戻った康貴は、


 「ちょっ、離れろ!くっ付くなって!」


 「くっ付いてないもーん、頭撫でてるだけだもーん」


 「じゃあ、頭撫でるのも禁止だ!」


 康貴は必死で頭を撫でるという名目で密着してくる夕夏を引き剥がそうとするが、夕夏の力が強くて、いや康貴が非力すぎて中々引き剥がせない。


 「まーだやってんのかよ」


 追いついてきた蓮が呆れ声で言う。


 「私は別にいいのだけどね」


 「早く助けてくれー!」


 朝の後者に康貴の悲痛な叫び声が響いた。


 

 ・・・・・・・・・・・・



 「悪かったって、そんなに拗ねんなよこう」


 「拗ねてねーし」


 「明らかに拗ねてるじゃない」


 「拗ねてるとしても何故なのか理由を考えてから喋ろよ凛」


 さんざん夕夏に弄ばれ近くにいたにも拘らず全く干渉してこなかった二人に康貴はつんとした態度を取っている。


 今は教室におり、四人とも同じクラスなので拗ねてしまった康貴のご機嫌取りのために康貴の席の周りにたむろっている。


 「ごめんねこう君」


 「ゆうのその言葉はもう信じない」


 先ほどはそれは言われて抱き着かれたので康貴の機嫌は悪くなるばかりだ。


 「そう言うなって。夕夏も反省してるみたいだしさ。昼飯驕るぞ?」


 「...俺がその程度で機嫌を直すとでも?」


 (((行けそう)))


 「帰りにマッグでも行く?もちろん奢るわよ」


 「......」


 「きょ、今日の夜ご飯はこう君の大好きなハンバーグにしようかなー」


 「......チーズ入りで」


 「もちろん!」


 何とか康貴の機嫌は戻ったようだ。


 「じゃあ、今日はみんなで昼飯食うかー」


 「あら、私とゆうのぶんも出してくれるの?殊勝じゃない」


 「はあ?夕夏のぶんまではまだしも何でお前のぶんまで俺が出さないといけねえんだよ。つか、そもそもお前弁当だろ」


 「全く、器の小さい男ね。ゆうよかったわねあなたのぶんは出してくれるらしいわよ」


 「ほんとー?蓮くんありがとうー」


 「えっ、あっ、いや、さっきのは例えというかなんというか...」


 「あら、出さないの?」


 凛が嘲笑うように言う。


 「ああ!分かったよ!出せばいいんだろ出せば!」


 「私のぶんも出してくれていいのよ?」


 「お前のぶんは例え弁当じゃなかろうとも絶対に出さん」


 蓮のその言葉に凛は少ししょんぼりする。当然だ好きな人にそんなことを言われれば傷付く。自業自得ではあるが。


 「素直になればいいのに」


 その凛の感情の変化を読み取った夕夏がボソッと言う。


 「同感だな」


 同じく感情の変化を読み取り夕夏の呟きを聞き取った康貴が自身の事は棚上げして同意を示したのだった。


 

 ・・・・・・・・・・・・



 「はーいみんなー席ついてー。というかわざわざ先生に言われなくても予鈴が鳴ったら席つけ」


 一言多い言葉を発しながら教室に入ってきたのは康貴達のクラスの担任、岩村奏(いわむらかなで)


 「出席取るぞー。休んでる奴はてーあげろ......おい、誰かつっこめよ私が滑ったみたいだろ」


 「滑ったんでしょうが...あ、やべ」


 康貴はつい思ったことを口に出してしまった。


 「新川、お前放課後書類整理手伝え」


 「いや、事実を言っただけなのにそれは理不尽じゃないでしょうか?」


 所々からクスクスと笑いを噛み殺した声が聞こえる。


 「私が法だ!」


 「めちゃくちゃだ!」


 こうして朝の一言二言の会話で康貴の今日の放課後の時間が潰れることが決定した。


 

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