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朝(2)

このサブタイトルの書き方だととっても楽ですね

 じーっ


 私は今男の子の寝顔を見つめている。世界で一番愛おしい男の子。恋愛感情かと聞かれれば違うと答えるとは思うけど、それでも世界で一番愛おしい男の子だ。


 男の子にしては長い睫毛、短く切り揃えているが指通りのいいさらさらの髪、高校生にしては少し童顔の可愛らしい顔、身長はこの年齢の平均身長としては少し小さく小柄だ。目鼻立ちは整っていてイケメンの部類に入るんじゃないだろうか。


 頬をぷにぷにと触ってみる。すべすべで気持ちいい。このまま抱き締めてしまってもいいだろうか?起きてしまうだろうか?毎朝そんなことを考えてしまう。それぐらい愛おしい。


 「え、嫌だよ」


 夕夏は男の子・・・康貴の突然の寝言に身を強張らせる。別に自分の考えていた疑問に対する答えの様な寝言だったからではない。少し悲しい記憶を呼び起こさせる言葉だったからだ。


 康貴が目を開けたので直に取り繕うように声を掛ける。


 「おはようこう君、何が嫌なの?」


 康貴の半開きだった目が全開になり、少し眩しそうな顔をする。その少しの仕草ですら愛おしいと思ってしまう。夕夏の少し沈んだ心は直に元の調子を取り戻した。


 「何でまた勝手に俺の部屋入って来てるんだ?ゆう」


 夕夏は康貴の質問の答えを少しだけ考えた。少しだけ、本当に少しだけ。1秒くらい。直に答えは出た。


 「幼馴染だから?」


 勿論康貴の両親に康貴の世話を頼まれているというのもある。でも多分、自分は康貴の世話を頼まれていなくても来るだろう。だからこそこの答えが一番しっくりきた。


 「親しき中にも礼儀ありという言葉を知らないのか」


 康貴が呆れを含んだ声で言う。でもこちらにだって言い分はある。


 「そんなこと言って、いつもベランダの窓開けてくれてるじゃん。閉めてたら私は来れないんだよ?」


 来て欲しくなければ閉めればいいという暴論。いや、確かに当然のことではあるのだが、勝手に入らないのが普通なのだからやはり暴論だろう。それに夕夏はこう言えば康貴は強く出れないと思っていた。康貴は自分が起きてから入ってくればいいと思っているものの、世話を焼かれているのは確かなので普段なら余り強く出れないはずだった。しかし、夕夏の予想に反して康貴は感情を少し荒げた。


 「それは、ゆうが前に一回窓が開いていなかったからとかいう理由で真冬に朝からベランダでずっと待ってたことがあったからだろ。しかもその後風邪ひいて寝込んだから親に『あんたのせいで夕夏ちゃんが風邪ひいた』って怒られて・・・何で俺が怒られなきゃいけないんだよ自業自得だろ!思い出したら腹立って来たわ!」


 確かにそんなことがあった。でもしょうがないじゃないかぁ。一秒でも早くこう君の顔が見たかったんだもん。でもその後風邪を引いてまともに康貴の顔を二日ほど見れなかったので夕夏も少しは反省していた。ただ、怒られたのは知らなかった。まだ何か言おうとしている康貴を見て夕夏は「しょうがないなぁ」と思いながら一歩近付いた。そして・・・


 「この間だって・・・」


 夕夏は康貴を優しく包み込む。幼子を抱きしめるように、壊れやすいものに触れるように、優しく包み込む。そして幼子をあやすように頭を撫でながら囁く。


 「よしよーし。落ち着いて落ち着いてー。過ぎたことはもういいじゃない」


 精一杯慈愛を込めた囁き。昔からこういうことをやっていた。康貴が友達と喧嘩した時や、母親に怒られた時等、昔からこうやると康貴は落ち着き、甘えてくるのだ。康貴の力が抜けたので夕夏は堕ちたかな?と思ったが康貴も高校生だそう簡単には行かなかった。


 「・・・はっ!ちょっ、こういうのもやめろって。もう俺達高校生だぞ」


 無理やり引き剥がされてしまった。堕ちたと思ったところから反抗されたので夕夏は少し不機嫌になってしまった。


 「もー、そんなに恥ずかしがらなくてもいいじゃん。昔みたいにくっ付いてくれていいんだよ?」


 「もう俺達高校生だぞという言葉が聞こえなかったのか?」


 康貴が親指と人差し指を擦り合わせながら言う。当人は気付いていないのだろうが、康貴は恥ずかしくなるとこの仕草をする。それが可愛くて夕夏の機嫌は直ってしまった。そして康貴の質問に対し意味の分からないことを口走る。


 「高校生だからこそくっ付く必要があると思うのですよ」


 意味が分からない。それも当然だって本人ですら自分の口走った言葉の意味を理解していない。ただ康貴とくっ付きたいという一心で口走っただけで特に意味などないからだ。


 「意味が分からん。・・・どうせ今日もうちでご飯作って食べるんだろ?」


 その康貴の言葉で夕夏は自分の目的を思い出し、


 「うん!直に作っちゃうから待っててね!」


 今まで忘れていたことなど微塵も感じさせない笑顔で答えた夕夏は慌てて部屋を出て足早に階段を下りていった。勿論そんな夕夏に康貴の小さな照れの混じった呟きなど聞こえるはずもなかった。




 ・・・・・・




 今日は何を作ろうかと思い冷蔵庫を開ける。今日は、少し時間が押しているので一番早く出来るものと考えていたので、直にメニューが決定する。


 まずは、ケトルに水を入れお湯を沸かし始める。次にフライパンを熱し始め、冷蔵庫の中から卵を取り出し、ボウルに割って入れ、かき混ぜる。かき混ぜ終えたらフライパンがしっかり熱くなるまでに、食パンを冷凍庫から取り出し袋の中から二枚を抜いてトースターに放り込む。次にキャベツとトマトを野菜室から取り出し、キャベツを千切り、トマトを薄切りにする。キャベツは切ったらレンジで温める。するとキャベツがしなっとなり、パンにはさみやすくなる。


 その間にフライパンがあったまったので解いた卵をフライパンに流し込む。そのまま卵が固まり始めるまでかき混ぜたらスクランブルエッグの出来上がり。


 カチッと音がしたのを聞いて、食器棚からカップを二つ取り出し、その中にレトルトのコーンスープの粉末を入れる。そして、お湯を注げばスープの完成。康貴の分は少しとろみがある方が好みなのでそれに合わせて入れるお湯の量を少なくする。


 あとはレンジから取り出したキャベツとトマトを皿に盛り付け、スクランブルエッグも別の皿に盛りつける。それらをダイニングテーブルに運んだら、キッチンに戻りトースターからきつね色に焼けた香ばしい香りのするパンを取り出し、二枚だした皿に一枚ずつ乗せる。スープも含め全て運んでしまい、その他の準備も整ったので夕夏は声を張り上げて康貴を呼ぶ。


 「朝ご飯できたよー!」


 「すぐ行くー!」


 と同じく元気な声が返ってきたので夕夏は頬を緩め、席について待った。

 料理シーンを書きましたけど私は全然料理したことないです。

 したことがないだけでやろうと思えばできなくもないかもしれなくもなくなくないかもしれない( ´ー`)

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