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テスト終わり

 暖冬で若干蒸し暑いけど、冷房を入れるのは流石に...と思って除湿を入れている今日この頃です。


 では、本編どうぞ。

 「疲れたー!」「やっと終わりかー!「自由だー!」「燃えたよ...真っ白に...燃え尽きた」


 チャイムが鳴ると同時に教室の各所から声が上がった。その声の中にはテスト終わりの疲労が垣間見える。


 「こう、テストどうだった?」


 蓮がすぐに席を立って康貴の席まで移動してきた。


 「普通だ」


 「ははは、なら全教科95点以上は固いんだろうな」


 康貴にとっての普通というのがそのレベルなのだ、一度中学の時に康貴が「良かった」と言った時は最低点数が98点で100点を量産していた。


 「こうくーん、週末どこか遊びに行こー!」


 こちらも即座に康貴の席まで移動してきた夕夏の言葉だ。テスト期間中は終始テンションが低かったのに終わったとなればすぐにこのテンションだ。康貴を遊びに誘うその言葉にはテスト後の疲労は一切感じられない。


 今の遊びに誘う言葉と、ちゃっかり抱き着いて康貴に頬擦りをしている夕夏は当然視線を集め、女子からは温かい目を、男子からは康貴が嫉妬の集中砲火を浴びていた。勿論二人がその視線を気にすることは一切無い。


 「ゆう、遊びに行く話をするのはいいけど手ごたえはどうだったの?」


 凛は他二人とは違い、自分の机を片付けてから来たようだ。


 「ま、まずまず?」


 頬擦りがぴたりと止まってから夕夏が疑問形で口にする。


 「どうして、疑問形なのよ...赤点にはならないことを願ってるわ」


 「あ、赤点だなんてそんな...そんなことよりこう君、週末どこ行きたい?」


 あからさまな話題転換だが、康貴は大人しくそれに付き合うことにした。


 「遊びに行くのは確定なんだな。別にどこでもいいよ。ゆうが行きたいところがあるならそれでいい」


 「うーん、私はこう君の行きたいところに行きたいんだけどな~」


 「そう言われてもな...」


 行きたいところが無いのだからそこに夕夏を連れていくことはできない。どこか行きたいところあったかな?と康貴が思案していると、


 「決まらないなら映画とか言ってきたらどうだ?ほら、最近人気の『死滅(しめつ)(かいな)』とか上映始まったし」


 「映画か、どうだ?ゆう」


 「いいね~行こう行こう!」


 「じゃあ、決まりだな」


 「楽しんで来いよ」


 朗らかに言った蓮を康貴はじっと見つめる。


 「な、なんだよ?」


 うろたえる蓮から目を離し、次は凛に目を向けた。


 「何?」


 こちらは態度にこそ出さないが若干動揺しているようだ。


 「...お前らはどっか出掛けないのか?」


 本人は何気なく言ったつもりだったが、当然その言葉は二人の動揺を誘う。


 「はあ!?何でこいつと出掛けなきゃいけないんだよ!?」


 「そ、そうよ。どうしてこんなゴミ以下の生物と外出なんて...」


 二人とも必死に言葉を紡いでいるが目は泳ぎに泳ぎまくっている。そして、次の康貴の言葉で二人は完全に沈黙した。


 「別にお前たち二人で出掛けるとは言ってないんだが」


 「・・・・・・」


 「・・・・・・」


 「こう君この時間帯でどう?ってどうしたの?」


 スマホで映画の上映時間を調べていたらしい夕夏が黙り込んでいる二人に首を傾げる。


 「まあ、いっか。映画観終わった後はどうする~?」


 「そうだなー...」


 康貴も二人を無視して、夕夏と遊びの予定を立てることにした。




 私の名前は宮岸亜美と言います。私は、先日同学年の新川康貴君に告白して、振られてしまいました。


 彼を好きになった理由は単純に一目惚れでした。整った、少し幼い顔立ちは私の好みにどストライクで、廊下ですれ違っただけのに、胸が高鳴りました。


 だけど、彼の隣にはいつも可愛い女の子がいました。鈴原さんです。私なんかよりずっと可愛くて、それでいて綺麗さも兼ね備えていて、スタイルも抜群な女の子です。彼を好きになってから、彼がいろんな人と話しているのを見ましたが、彼が一番楽しそうなのは、鈴原さんと話している時でした。


 好きになってからずっと彼の事を観察していました。別にストーカーという訳ではありませんよ?彼が私の視界に収まるときだけずっと観察しているという意味です。特に意味も無いのに彼のいる教室に行ったりなんてしていません。本当です。...こほん、そんなことを一ヶ月ほど続けていたからでしょう。彼への好意が友達の時雨ちゃんにばれてしまいました。時雨ちゃんは気の強い女の子で、私が好意を認めた瞬間、告白しようと言ってきました。流石にその日は告白に至りませんでしたが、時雨ちゃんが「大丈夫」とか、「亜美は鈴原にも負けない」とか私に自信を付けようとたくさん褒めてくれるようになりました。勿論時雨ちゃんは告白をせかすためではなく、自信を付けるためとはいえ、ちゃんと本心で言ってくれました。むしろ、何の考えも無く告白しようと言ったことに謝ってくれました。


 そんな、時雨ちゃんの後押しもあって、彼に告白しようと決めました。だけど、やっぱり不安になってしまって、当日時雨ちゃんについてきてもらうことにしました。それは、結果的には正解でした。告白自体は時雨ちゃんがいなくてもできたかもしれません。でも振られた後は、もし一人だったら私は壊れていたかもしれません。


 酷いというのはあくまでも私の主観です。彼の(がわ)に立ってみれば普通に振っただけだったでしょう。でも、私からすれば、酷い振られ方でした。だって、自分の事を認知もされていなかったんです。全校生徒の前でスピーチをしたのだから当然知っていると思っていました。彼に合わせて入った図書委員で同じ日に当番になったのだから認知されていなければおかしいと思っていました。でもその考えはことごとく打ち破られました。私は彼が認知するほどの、興味を持つほどの存在ではないと、言外に言われたようでした。こんなにも悲しいことがあるでしょうか、好きな人に存在すら認知されていないだなんて。


 時雨ちゃんに支えられて校舎を出た後、号泣してしまいました。時雨ちゃんは必死に慰めてくれました。きっとその時雨ちゃんのケアが無ければ私は確実に壊れていたでしょう。確信出来ます。


 次の日から私はもう彼に関わるのをやめようと思いました。だってもうあんなに傷付きたくないですから。まあ、彼にとっては関りを持ってすらいなかったようですが。

 ブックマークや評価、感想をしていただけるとモチベに繋がります。してやってもいいだろうという方は是非お願いします。


 本当はただ、尺稼ぎに書こうと思っただけの宮岸亜美の独白だったんですが、こちらがメインになるくらい長くなってしまいました(笑)

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