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やんちゃな先輩

 この前の台風の日に、台風の風で家が揺れたんですが、当日はそれに気づかなくて地震もダブルパンチで来たのかな?と頭の悪いことを考えていた今日この頃です。


 では、本編どうぞ。

 「おい!新川はいるか!」


 昼休みの和やかな教室にノイズが響き渡った。


 声の主はいかにもガラの悪そうな生徒で、チャラチャラした髪型をしており、制服も気崩している。康貴はこの人物を知らないため、どうやら先輩のようだ。


 「はい、新川は俺ですが」


 ご飯を食べ終わり、いつものメンバーで談笑しているところに水を差され、康貴は少し不機嫌になりながらも気だるげに返事をした。


 康貴の返事を聞き、ガラの悪い先輩が視線を康貴に向ける。それと同時に康貴の頭を胸の中で抱えていた夕夏も視界に収める。その瞬間先輩の表情が歪んだ。


 ずかずかと先輩が教室に入ってきて、康貴の席に辿り着き、


 「新川、お前放課後校舎裏に来い」


 ドスの利いた声で先輩が康貴にそれだけ告げ、さっさと教室を出ていった。


 「「「「「・・・・・・」」」」」


 一部始終を見ていたクラスメイト達も黙ってしまい、教室に静寂が訪れる。が、すぐにその静寂を当事者である康貴が打ち破った。


 「告白かな?俺そっちの趣味はないんだけど」


 「「「「「んなわけねえだろ!」」」」」


 クラスメイト達の総意が綺麗にハモッた。


 「こう君、流石にそれは無いと思うよ?」


 夕夏が諭すように言う。


 「分かってるよ、冗談だ」


 「今のこうだと本気で信じてるように感じるからやめろよ」


 漣が冷静に突っ込むが、康貴にとってはそれは心外だった。


 「馬鹿を言うな。別に根本的な頭まで悪くなったわけじゃねえよ。証拠に今日の小テストは満点のはずだ」


 「証拠にって言うなら、採点済みの証拠を持ってこい」


 「帰ってきてないから無理だな」


 軽口をたたき合う二人だが、今はそうでは無いだろう。


 「何となく話題をそらしているようだけど、流石に無視できない話題よ。康貴君」


 「は?何でだ?」


 「え、いや何でって...さっきの先輩やんちゃなことで有名な先輩よ?」


 「そうなのか。で?」


 「...あなたもしかして無視するの?」


 「それ以外に何かあるのか?」


 凛あ絶句した。さっき凛はやんちゃで有名と言ったが、その知名度は学校全体だ。なので、凛は康貴もこの先輩が何故、どうして有名なのか知っていると思っていた。いや、現在進行形で思っている。なので混乱して言葉が出なくなってしまった。


 「...ゆうも何か言ってやってよ」


 凛は何とか混乱から立ち直り夕夏に助けを求める。しかし、それは無駄だった。


 「こう君が行きたくないならいいんじゃないかな!」


 康貴をぎゅっと抱きしめながら笑顔で康貴を肯定する。


 「だよな、俺が行かなきゃいけない理由なんてないもんな」


 「そうだよー、昨日は一緒に帰れなかったから今日は一緒に帰ろうね!」


 「当たり前だ」


 「...はあ、これは何言っても無駄ね」


 「ああ、そうだな」


 何事も無かったかのように再びイチャイチャし始める二人を見て、凛が諦めの溜息をつき、蓮がそれに同調した。




 翌朝、教室で康貴は凛、蓮と談笑をしていた。夕夏はお手洗いに行っており、今はいない。


 「おい!新川!」


 教室のドアが耳障りな音を立てながら勢いよく開かれ、鬼の形相をしたガラの悪い先輩がドシドシと音を立てながら康貴の元に向かってくる。


 「おいてめえ、これはどういう了見だ?」


 「何がです?」


 ドスの利いた先輩のセリフにめんどくさそうにしながらも康貴が返答する。


 「おちょくってんのかてめえ!俺昨日お前に放課後校舎裏に来いって言ったよなあ!」


 「うるさいので静かにしてくれませんか?後、放課後の校舎裏でしたっけ?俺が行く必要を微塵も感じなかったから行かなかっただけですが何か?俺が行かなければいけない義務なんてありませんし。もしかしてずっと校舎裏で待ってたんですか?でもそれ俺のせいじゃないですよねえ?だって、そもそも俺行くとか一言も返事してませんし」


 「ああ!?舐めてんのか?ぶっとばすぞ!」


 「だから静かにしてくださいって、迷惑ですから。怒鳴りつけるっていうのはそうしないと自分が優位になれない人がするものですよ?下級生相手にそんな方法でしかマウントを取れないんですか?」


 康貴が失笑する。だが、頭に血が上っている先輩はそれは嘲笑ととらえたのだろう、


 「てめえ!ぶっ殺してやる!」


 座っている康貴に向かって先輩が拳を振り上げる。


 流石に座っているので康貴は避けることが出来ない。凛と蓮も康貴の席の周りにいたが、先輩と康貴が言い合いを始めた時点で一歩引いていたので間に合わない。


 先輩の拳が振り下ろされ、康貴の顔面に拳が突き刺さる、寸前に誰かが先輩の手首を掴んだ。


 「なんだあ?」


 今まさに振るおうとしていた暴力を寸前で止められた先輩が手の主に目を向ける。そこには、


 「何をしているんですか?」


 背筋凍ってしまうかのような冷たい声が教室に響く。


 「こう君に何をしようとしているんですか?」


 いつもニコニコしている夕夏が真顔で先輩の手首を握りしめていた。

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