駄目なものは駄目
もう一作の方に少し力を入れていたので投稿が遅れてしまい申し訳ありません。今日から投稿を再開します。そして、投稿頻度、というか投稿のサイクルを変えることにしました。一週間こちらの作品を投稿したのち、もう一作を一週間投稿するという、一週間サイクルに変更いたします。こちらの作品しか見ていない方には申し訳ありません。でも、この機会にもう一作の方も閲覧いただけると幸いです。
上の文章が少し長いですが今日も小話書きますよ。
これはちょっと分かる人にしか分からない話なのですが、先日兄が3DSでポケモンのBWを初めからやり出したのですが、割と序盤で野生のポケモンからポケルスがうつっていてびっくりしました。育成が楽になったそうです。ほんとに分かる人にしか分からない話してごめんなさい。
では、本編どうぞ。
「明日は雪でも降るのかしら...」
教室に入ってきた康貴と夕夏を見て、凛が放った第一声だ。
「降る訳ないだろ。六月の下旬だぞ」
康貴が冷静に返す。...夕夏の愛情を享受した状態で。
「そんなこと分かってるわよ...どういう状況なの?」
混乱の原因である康貴と夕夏を質問の対象から抜かしたため、普段では絶対にありえない、凛が蓮に質問する構図が出来上がった。
「実は...」
「それはまた...妙なことになったものね」
「ああ、ほんとに...」
二人は事情説明をしている間に席に座ってしまった康貴を見て溜息をつく。ちなみに夕夏は康貴の付属品のようにぴったりくっついている。勿論康貴がその夕夏の行動に嫌がるそぶりは全く見せない。
「いつも気にしていた周りの視線にも今日は全くの無関心だし」
クラスメイトの女子は康貴達に好奇の視線を、男子たちは憎悪の視線を注いでいるが、康貴は無視している。いや、もしかしたら気付いてすらいないのかもしれない。
「こう君ちゃんと課題やった?」
席に座っている康貴の後ろから、両腕を首元に回し軽く抱きしめる様な形で夕夏は康貴に語り掛ける。
「当然だ。十分もあれば終わる」
康貴も回された腕に手を伸ばし軽く握って返答する。
二人は傍から見れば恋人のようだった。しかし、当人達にはその気は全くない。簡単な構図だ。夕夏が甘やかして康貴が甘やかされる。他人からどう見られるかなど今の康貴達にとっては些細な問題にもなりえなかった。
「私ちょっと鼻血が出そうなのだけれど...」
「なっ!お前、そんな趣味が...」
「いや、普通でしょ、ノーマルでしょ。男と女よ?」
「た、確かにノーマルだ...でも、友達の絡みをみて鼻血は無いだろ」
「...普段では有り得ないことだし、二人の絡みが癒しだったから、なんだかいけない物を見ているような気がして...」
「だとしても鼻血は...」
「ちょっ、引かないでよ!ほんとに出したわけじゃないんだから!」
「え、あ、ああ、すまん」
珍しく蓮に対して感情をあらわにした凛に蓮がたじろぎながら謝る。普段本心があらわにならないように徹底して蓮に対する感情を抑制している凛だが、好きな人に引かれるのは流石に耐えられなかったらしい。
「おーい、お前ら。まだ二人で話してるのかー?仲良しだなー?」
少し気まずくなった二人の間に康貴の声が差し込まれる。そこで凛は、はっと我に返り、
「仲良しじゃない!」
と康貴に向き直り、否定した。なのでその時蓮がどんな顔をしていたのか凛は知る由も無かった。
ガララララ
「はい、お前らとっとと席につけー。先生に言われないとできないのか?小学生レベルか?」
一言も二言も多い言葉を発しながら岩村先生が教室に入ってくる。それに合わせて各々の席に皆戻っていく。
「よし、点呼とるぞ。全員いるな?」
「「「「「はーい」」」」」
「ほんとに小学生かお前ら」
皆昨日の康貴の惨状を見たため先生に合わせたのに酷い言いようだった。この人教師向いてないんじゃないだろうか。
「今日は大事な報告も無い、細かい忠告も無い。何か報告や注意喚起のあるやつはいるか?」
適当ではあるがやることはちゃんとやるため教師に向いていないと一概には言えないのかもしれない。それに真面目で厳しい先生よりも適当でとっつきやすい先生の方が生徒からの人気は出るものだ。
「無いようだな。じゃあ、今日のホームルームは終わりだ。一時限目は小テストだからな。しっかり準備しとけよ」
えー、と生徒達からめんどくさそうな声が多数上がる。
「昨日のあれか」
康貴が呟くと、耳聡く隣の席の夕夏が声を掛けてきた。余談だが、康貴は所謂主人公席におり、夕夏はその隣だ。康貴は背が低いので黒板が見えずらく、若干難儀している。
「こう君、昨日の事何か覚えてるの?」
「別に大したことじゃ無い。昨日先生の書類整理を手伝ったときに小テストをちらっと見ただけだ」
「そっかー...こう君、どんな問題が出るの?」
夕夏が康貴の耳に顔を寄せ、ウィスパーボイスで聞いてくる。
「教えるわけないだろ。というか、ちらっと見てしまっただけでほとんど出題内容は見てない」
康貴は羞恥心に逃げられたとはいえ、常識を失ったわけでは無い。
「覚えてる分だけ教えてよー」
夕夏が康貴に縋り付いてくる。夕夏はあまり勉強が得意では無いのだ。
「駄目だ。ちゃんと課題やってればある程度は解けるはずだ」
「課題なんて真面目にやってないよ。あれは作業だよ作業」
「だったら自業自得だ。諦めて潔く低点数を取れ」
「おーねーがーいー」
「駄目といった駄目だ!」
康貴に縋り付く夕夏の姿に朝の慈母のような雰囲気はまるでなかった。
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康貴達に好奇の視線を...別に駄洒落じゃないですよ?