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疲れたときに行くオタクショップ

平面に印刷されたフリルはやわらかさを感じることを強要してくる


どの方向へ目を背けても過重力に巨大な眼が私の横顔を覗き込んでくる


疲労が溜まったが故のほころびを災いにして

カラフルな髪らが私の中へとうねり這って侵入してくるのが見えてしまった

タンパク質で合成されていない 人間の肉身が拒絶反応で焼けていくのを感じる

色同士が混濁したそれは背反の津波

見られるためのものが見られることで攻撃をしかけてくる

内臓から遡ってきた髪の束が気道を詰まらせる

嘔吐しようにも穴が塞がっているから脳がはち切れ続ける

うふふ

どのむすめたちもがわらいながら


ショップへの階段はところどころタイルが剥げているのだが

意図的にか偶然にか それが結界を張る配置となっていて

他フロアからの空気の流入を阻害しているのだろう

普段は平気どころか楽しく通っていたのが信じられない

循環せずに煮詰められた空気は濃硫酸に近い

酸欠だったからこそ私は何も思わないまま彼女たちを消費する側に回れたのだ

今は私が彼女たちに消費される 使う側が使われる側に消費される

私の目はその冒涜的な状態を見て離さない

意識は解かれることのない呪縛だ


ふらふらと

歩くしかない

狭い通路を

競売にかけられる奴隷のように

両側からか細い腕が伸びて私を味見してくる

低い天井に頭をべろべろに舐められる

その度に私の肉身が削れていくのを感じ

私の体積は減っていく ゼロの厚さへと近づいていく

アイドルも女子高生もメイドも人外も

棚という棚という棚という棚に

隙間無く陳列されながら絶えず訴えてきた

買って買って私を買って

消費して消費して私たちを消費することで愛して

陵辱と化した欲求

お前たちは絡みついて木を枯らす蔦だ

その依存はもはや主従を覆している

縋り寄りよってくる彼女たちの爪は致死量の傷痕を簡単に残すことができるというのに

単行本はその圧倒的な紙の密度で逃げ場を潰してくる

缶バッチ同士はぶつかり合って冷たい喧噪を場に満たしてくる

大きすぎる瞳のその中にある黒目が

私以外を沈ませながら


キャラ

キャラ

キャラたちが笑う

キャラ

キャラ

キャラたちが笑顔を表す

キャラ

キャラ

キャラたちが描かれた笑顔を示してくる

キャラ

キャラ

キャラたちが人間によって描かれた笑顔を剥き出しにして見せつけてくる

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