七話《神なら楽しめばいい》
キーンコーンカーンコーン
授業終わりのチャイムが鳴る。
俺達は第十三教室を出て自分のクラスルームに戻ろうとしていた。
「次は......。」
「化学な。」
瀬戸原が答える。
「化学か......。」
つまり千春先生の授業である。
「そういえば仙崎......じゃなくて戦友。さっきの話の続きじゃないけど、最近あいつとはどうなの?」
「あいつ?」
「峰木さんのことだろう?」
「そうそう。」
どうと言われても何か進展があった訳では無い。そもそもあいつとは形だけの関係だったのだ。
「......まあ、普通かな。」
普通というのが最も適した表現だと思った。
その刹那、背中に寒気を感じた。振り返るとそこには───
────誰もいなかった。
だが俺は気づいていた。その時曲がり角に消えていった少女の持っていたスクールバッグに、覚えがあることを。
「どうかした?」
「どうかしたのかな......。」
「いやそれはこっちが聞きたいんだけど。」
深田が苦笑いをしながら言った。
「あ、ごめん。何でもない。」
確かに何でもないことなのだ。ただ峰木が偶然その場を通っただけ。それだけの事なのだ。
「ならいいけどよ。」
「早くしないと遅れるぞ。」
「だとよ。」
「......うん。」
俺達は早足で教室に戻った。
太平洋の上空に浮かぶ島。海ではなく、空に浮かぶその浮遊島を人は[楽園]と呼んでいる。今やこの「楽園」は天使達の巣窟、つまり人類にとって敵陣とも言える場所だ。
そんな天使だけの楽園に翼を持たぬ二人の男女がいた。
「レーザー砲か......。そろそろそう来なくっちゃな。虐殺だけではつまらなくなってきたところだ。」
男が言った。
「勝算はまだあるのでしょうね?」
女が男に尋ねた。
「笑わせるな。神が負ける訳がないだろう。」
「それを貴方が言いますか......。」
「.........。まあ良い。そんな日もあるだろうに。」
「いや、それはそれで......。」
「.........。」
「.........。」
と、その時、一人の天使が息を荒げて飛んできた。
「カールハインツ様!アメリカで何やら怪しい動きが......。」
天使は男の前に降り立つと、膝をついて説明を始めた。
「実は私がアメリカのロサンゼルス郊外で───」
「待て。貴様は今どこから来た?」
と、男はその説明を遮って質問をした。
「は?いえ、アメリカからそのまま......。」
「そうじゃねぇだろぉ?」
「あ゛。」
突然天使はある事に気付いたらしく、凍りついたかのように固まってしまった。
「そうだ。よぉく分かってるじゃないか。貴様は空から飛んできたのだ。」
「ちょっと、カールハインツ?」
女の方は不思議そうに首を傾げている。
「......こ、今回は急用だった為......。」
「ははは。そうか、急用があれば下克上も許されるってか。」
「それは......。」
天使は男から目をそらした。
その瞬間天使の首が一回転した。
切り口からは赤黒い血が流れ出る。
「!?」
女が慌てて目を覆う。
「全く、この前言ったではないか。俺より高い場所から来たやつは罰を与えると。」
男は既に息をしていない天使を蔑むような目で見ていた。
「......そ...そんなの理不尽過ぎます。」
女が怯えた様子で言った
「お前も逆らうのか?ジルヴィアよ。」
「......私は...貴方の支配下に置かれたつもりはありません。」
「......ふーん。」
「.........。」
「......好きにしろ。」
「でもいいのですか?」
「何がだ。」
「彼の言っていたアメリカの件。」
「そんなものは......。」
男は目をつぶって天使の頭に手を当てた。すると魔法陣が浮かび上がってきた。
少し経つと魔法陣は消え、元通りに戻った。
一つだけさっきとはっきりと変わった点があった。男がニヤリと笑みを浮かべていたのだ。
「ほうほう。これは丁重に出迎えねばな。」
男はそう言って生首を放り投げた。
「はいはーい。授業始めまーす。」
授業始まりのチャイムから5分ほど経ってようやく千春先生は来た。
「きりーつ。きをつけー。れー。」
そう言って先生は授業を始めた。その間俺はずっと峰木のことを考えていた。考えれば考えるほど分からなくなっていた。
最も分からないのは何故あの時峰木がバックを持っていたのかである。登校するには余りにも遅過ぎる......。ならば早退か?ならまだいいのだが......
別に今日だけの話ではない。昨日だってそうだ。正確には先週の土曜日から────今日が水曜日だから四日前だ。
「────じゃあ......仙崎君。」
「.........ふぁっ!?」
先生の声にはっとする。どうやら当てられたらしい。俺はすぐさま教科書を開こうとした。が、どのページか分からないじゃないか!
そんな時、オロオロとしている俺を見てか、隣の女子が「62ページ四角1」と呟いた。
俺は彼女の声をを聞いてそのページを開くと、四角一番を読み始めた。
「上記の反応において───」
「────とも表される。」
随分と長い文章だった。俺は一息ついて席に座ると、隣の女子に小さくお辞儀をした。彼女は横目で俺を見ると、『お気になさらず......』といった様子でノートに絵を描きだした。
いつもの事だ。彼女はいつも授業を聞かずに絵を描いている。
俺は一つため息を吐くと、また峰木について考えだした。誤解しないでほしい、これは俺があいつの彼氏だから仕方なくしていることであって、別に峰木が好きだからとかそういう訳では......ないのだ。......多分。
俺は二ヶ月とちょっと前の事を思い出していた。
俺達がこの新宿にある学校に通い始めた頃の事だ。クラスどころかこの世界中のどこにも知り合いなんていないのじゃないかと思えるほど皆孤独だった。街ゆく人の全てが死んだ魚の目をしていたのを覚えている。
そんな時、俺は峰木と出会った。
はい、どうも。らびっとぉです。
今日は東方の例大祭行ってきました。
燕石博物誌も買えましたし、最高でした。
東方の同人小説とか書きたいですね。
にしてもいきなり敵キャラです。あと少しグロめ。
因みにカールハインツとジルヴィアはドイツの人名です




