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二話《黒猫が前を横切った道》

「次はどこ行く?」

俺は歩きながら峰紀に訪ねた。

「遊園地.....は動いてないし、ゲームセンターも無理.....。カラオケもやってないし......。」

「店はあてにならないか......。」

店以外で楽しめる場所を探すしか無いようだ。

「もう一件ショッピングモールとか?」

「おいおい、まだ買うのか?」

「アウトドア用品がなかなか置いてないのよ。」

「どこもいっしょだろ?」

「それもそうよねー。」

かと言って他に行く宛がないのも事実である。

先生との約束の時間は6時だが、今はまだ2時にもなっていない程度である。

「..........。」

「あ、そうだ。学校行ってみない?」

「はぁ?」

彼女のあまりにも唐突な提案に俺は理解出来なかった。

「ほら、部室に行けば大体の物は揃ってるだろうし、誰もいない学校なんて面白そうじゃない?」

なるほどと俺は思った。

「んじゃお前の高校でいいな。場所知らねーから道案内は頼んだ。」

「そうさせてもらうわ。」

目的地は決まった。

後はそこに行くのみだ。

「........で、車どれだっけ。」

「えっ?あんた忘れてんの?」

「じゃあお前は覚えてんのか?」

「それは......。完全にあんた頼りにしてた......。」


それからショッピングモールの広い駐車場を迷うこと二十分程、ようやく俺らは行きに使った車を見つけた。

「ホント見つかって良かったわ。」

「見つからなきゃ帰れないけどな。じゃ、行くぞ。」

「事故起こさないでよね。」

峰紀はまだ俺の運転の腕を疑っているようだ。

「起こさねーよ。」


俺は運転免許は持っていない。

だが車の運転方法などはゲームをやってればそのうち分かる。

唯一分からない事があるなら交通ルール程度だ。

だがそれも心配はいらない。

区外に残っている人はもういないし、俺らみたいに区外へ戻る人はほとんど休日に開かれているツアーを使う。

個人で行って奴らに殺されても誰も責任を取れないからだ。

もちろん今回俺らがこうして高校生2人で区外に出ているのは違反になってしまうだろう。

あくまで表向きは先生との3人で来ていることになっている。

で、その先生は言うと、今頃ブック〇フで漫画の立ち読みに浸っていることだろう。

因みにこの車は先生のものだ。


「そこら辺で止めて。」

彼女の案内のもと走り続けること十五分。

俺が車を止めた場所はどっかの私立高校の校門前だった。

「ふーん。至って普通の高校だな。」

俺らは車を出て学校の中に入っていった。

私立高校とはいえども校舎は古びていて、先程のショッピングモール同様至るところに黒くなった血がこびり付いていた。

車で色々なところを走ってきたが、大体どこも血塗れだ。

「........懐かしいわね。」

彼女は自分の靴箱である場所に立つとそう言った。

俺はこの高校に来たことは一度も無かったが、同じ懐かしさを感じた。


一年四組。ここが彼女の教室のようだ。

俺はドアを開けて中に入ろうとした。

「そっちは開かないわよ。」

彼女にそう言われ俺は前のドアにまわった。

確かに俺がドアを動かそうとしてもびくともしなかった。

かと言って鍵がかけられているわけでもないようだ。

なら一体なぜ?

そんな疑問も次の瞬間には忘れてしまっていた。

それほど教室の中は酷い有様だった。

「おい.....マジかよ.....。」

こんな狭い空間で奴らと戦ったというのか。

教室中が血まみれになっていた。

「私達の地域が襲われたのは午前中だった。」

「この様子だと相当の数で来られたようだな。」

元々天使にはいくつかの階級がある。

俺が住んでいた街を襲ったのは9段階中の上から2番目の天使だという。

その破壊力はたった一体で大阪を攻め落とす程だったが、攻め方は単純に破壊だ。目に付いた建物から順に倒していく。

しかし場所によっては階級の低い天使に集団で襲われた場所もあるそうだ。

そういう場所では人間より少し大きい位の天使に目に付いた人間から順に殺されるようだ。

「机を寄せてバリケードを作ったりとか。.....まあ結局意味なかったけどね。」

そのバリケードは今でも残っていた。

道理で後ろのドアが開かなかったわけだ。

「よく生き残ったな。」

「窓から外に出たのよ。」

俺は驚いた。

ここは学校の三階だ。

もし落ちたら普通に死んでしまうだろう。

「凄いなお前。」

「クラスのほとんどがそうしたわよ。間に合わなかった人もいたみたいだけどね。」



次に俺らは職員室で部室の鍵を取り、早速部室に向かった。

職員室は扉ごと壊されていた。

きっと鍵をかけて侵入を阻んだからだろう。

渡り廊下を通って、少し行った先にアウトドア部の部室はあった。

部員募集中と大きく書かれた張り紙がはってある扉だった。

アウトドア部などという部活がある高校は珍しいだろう。

その部室がどんなものか、俺は少し興味があった。


ガチャッ


峰紀が扉を開ける。

俺はその中を覗いてみた。

そこで俺は誰かと目が合った。

峰紀ではない誰かと────

第二話だったっけ?をお読みいただき誠にありがとうございます。

ああ、俺ももう高2か......。

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