プロローグ《飛べない人はただの豚》
これはある日の夢だ。
夢の中では何処かで会った事のあるような女の子がいた。
その女の子は俺にこう話しかけてきたんだ。
「君の羽が治ったらまた一緒に飛ぼう。」と。
俺達は当然ながら人間だ。
人間には羽は無い。
しかしそれはただの固定概念に過ぎない。
その上ここは夢の中だ。
そして現に目の前の女の子には羽があったのだ。
俺はとっさに背中を触ろうとした。
そこで柔らかいなにかに当たった。
それが自分の羽であることは明確だった。
俺はそれを動かそうとした。
その瞬間、俺は背中をえぐられるような激痛に襲われた。
「まだ動かしちゃダメだよ。」
女の子は優しい声でそう言った。
「ごめん。」
そう言ったのは俺だった。
何に謝ったのかは分からない。でも夢の中の自分は謝らなければならない理由を知っていたようだ。
「じゃあそろそろ行くね。」
女の子はそう言った。そう言って羽を羽ばたかせた。
その瞬間、物凄い風に包まれた。
目も開けていられないほどの風だった。
再び目を開いた時には前には誰もいなかった。
俺は空を見上げた。
「......眩しい。」
それは太陽の眩しさだった。
それでも俺には彼女のシルエットが見えた。
俺もいつか空を飛べるようになるのだろうか.....。
夢の中の俺はそう思った。
プロローグをお読みいただきありがとうございます。
と言うかプロローグでは何もわかりませんね。
とりあえず2話でまたお会い致しましょう。