~語り手~ 物語の始まり
少し前に書いたものを読みやすく編集してみました。
どのような意見でもいいので感想などいただけると、とても嬉しいです(読んでくれている人がいると思えるだけで頑張れるものです)
なにとぞよろしくお願いします。
私が目を覚ますと清潔なベットの上にいた。
ここはどこだろう。
ここに来るまでの記憶がない。それどころかそれ以前の記憶も曖昧だ。何かに怒っていた気もするが定かではない。
あたりを見回すも、薄暗くてよく見えない。
「おはよう」
声のするほうをよく見ると、女性が椅子に座っている。
女性の印象はとにかく不思議な人だった。
目鼻立ちはすっきりしているし、少し明るい綺麗な茶色の髪を、長すぎず短すぎず、肩くらいの長さでまとめられている。
肌は透き通るほど美しく、それほど年を経ているわけでもないだろう。……人生経験の浅い私には女性の年齢のことはよくわからないが。
それでも私が不思議だと思ったのは瞳の色だ。
片目はまるで海のように青く、もう片目は炎を宿したかのように赤い色をしていた。
オッドアイ……というのだろうか。初めて見た。
女性は優しく微笑み、おもむろに膝の上に乗せていた本を開く。
表紙はハードカバーで見たこともない文字が書かれている。
「私が語り手であなたが聞き手。さっそくだけど読ませてもらうわね。」
そういうなり女性は目線を本におとす。
私に拒否権はないのだろう。まぁそれでも問題はない。私は女性の声に意識を傾けた。