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幻の語りーージルシ

作者: 知秋一葉

そう。

師父と風以外に、

第三者はいた。

夢中の二人は、

気が付かなかった。

「ご飯が出来て探しにきた」

と、婉は現れて、

「聴いてしまったの。ごめん」

と謝った。

「いずれお前にも教えるから」

風も師父に従った

「そうだね。気にしないで、婉」

「よかった。ご飯に行こう!」

「行こう。おなかがすいた」

「僕もぺこぺこ!」


食事中、

三人はなるべく小雪の話を避けた。

すると、

師父と風は口を揃えて、

婉の腕を褒めたてた。

半分はお世辞だと分かっているが、

愛している二人に褒められて、

嬉しい気持ちは胸にいっぱい。

お酒をあまり飲まないが、

今日はぐいぐい飲んでいる。

顔は赤くなって、

可愛かった。

お酒がまわると、

気分は盛り上がってきた。

三人は飲みながら、

歌い始めた。

十八年前に、

婉に教えられた歌を歌うと、

風は何か思い出して、

師父に聞いた。

「師父、十八年前に、

どうして僕が風一郎の転生だと分かった?」

師父は盃中の酒を一口で飲んで答えた

「お前の背中の生まれつきの印のお蔭だよ」

「あの赤い印?」これは婉の反問だ。

「風、その印は何と似ている?」

「僕、あまり見えない、背中のもの」

と、風は笑いながら、

「面白いものがあると親に言われたけど…」

婉を見ている。

勿論悪い意味はない、

嫌らしい意味もない。

口がすべたと思う婉は、

顔がもっと赤くなった。

彼女はテーブルの下に、

風の足を踏んで、

「それは十八年前、

風の汗を拭く時に、偶然に見たよ」

と弁解した。

さらに

「お父さんに言われたからよ」

と、言い足した。

「わしは悪いかな」

「そうよ!十八年前の“変な命令”と今の“変な質問”」

と、婉は師父に甘えた。

「よし!よし!わしが悪かった」

風は師父の盃に酒を注いで

「じゃあ、あの印は何なのだ?」

と聞いた。


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