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第1話:クスリ

「これがきっと……僕らの望んでいた世界だ」

タカヒコがモンタージュβ型で蔓延した東京で呟いた。街の至るところで黄色い液を吐いた死体で埋まっていた。タカヒコはその光景を見て第二次世界大戦中に起きたユダヤ人虐殺の光景に見えた。

タカヒコは最後の対モンタージュβ型ワクチンを取り出し、注射器の針で皮膚が剥がれかけた右胸に力強く刺した。

タカヒコは大声で叫んだ。その叫び声は犬が絞め殺される声にも似ていた。荒い息を立てながらタカヒコは東京駅を目指した。タカヒコが幼い頃から殺したかった人物を殺す為に。タカヒコは自分の命が後数時間しかもたない事を焦りながら、東京駅へと急いだ。その日は晴天で、三ニ度を超える暑い日だった。

2007年7月30日東京を中心に

「モンタージュβ型」

と呼ばれる劇薬がばらまかれた。この薬は大宮製薬が日本の政府に依頼された薬だった。この薬は最初の段階では黄色の液体状でこれが空気に接触する化学反応が起こり、有毒ガスに変わる。サリンと似ている為

「サリン2型」

とも呼ばれている。しかし、サリンと大きく違うのは異常なまでの殺傷効果である。このガス化したモンタージュβ型を吸い込んだ生物は五分以内には100%の確率で死亡してしまう。原因としてガスの中に含まれている

「コレラロン」

と呼ばれる物質が心臓に急激なスピードで流れ込み、心臓を停止させるのだ。そして血液がそのコレラロンにより染色体を刺激し、血液の色を黄色い色に変えてしまうのだ。

東京を一瞬にして黄色の世界に変えてしまったモンタージュβ型は今も蔓延し続けている。

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