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彼のアルバイト先に行ってみる

作者: WAIai
掲載日:2026/07/20

「こんにちは、いらっしゃ…」


彼の声が止まったのは、私がコンビニに来たからだった。


「お前、また来てくれたのか?」

「うん。喉が乾いて、お腹も空いたしね」

「そうか。俺のオススメは」


何だろうと期待していると、入口が鳴った。

誰だろうと振り向くと、青いコンテナを押してくる人で、歳は20代だろうか。


怒らせたら怖そうな、そんな感じの人だった。


「お疲れ様です」


何故か彼は嬉しそうで、少し嫉妬する。

私が来た時よりも表情が緩んでいるので、背中を叩いてみるが、逆にここにいろと指示される。


しょうがないので、彼の指示通りにすると、彼はコンテナの中を確認する。


パンやスイーツが入っており、お昼に向けて売り出すつもりなのだろうと推測する。


「おう。相変わらずだな」


彼は男性に小突かれ、嬉しそうにする。

例えるなら兄に甘える弟みたいな感じといえばいいか。


男性は昭和の香りがするような、真っ直ぐな性格らしく、彼が気に入りそうなタイプだった。


「この間、身長を計ったら、また伸びていました」

「そうか。若いうちはいっぱい食べて、いっぱい動け。いいな?」

「分かりました」


彼が答えた後、急に男性が私を見てくる。

その視線は鋭く、心の中を見透かされるようだった。


「お前の彼女か?」

「そうです」


軽く三つ編みして、ふわりとしたワンピース姿。

私はどう見られているんだろうと、興味がわくが、彼に身体でガードされ、驚く。


男性に対しての行動に、男性は苦笑し、言ってくる。


「取らないよ。俺、奥さんと子どもいるし」

「そうですか」

「お前、まだ若いな。彼女を助けようとするのはいいけど、ほどほどにな」


そう言うと、男性は彼を小突き、外を指さす。


「まだあるんだ。よろしく頼む」

「はい!!」


兄貴分に尊敬する仲間のように、彼は私を置いて出て行ってしまう。


忙しいのかと残念がるが、男性が羨ましかった。

いいな、嬉しそうな後ろ姿。


私といても楽しそうなのだが、男性同士だと、更に違うらしい。


私は待ってもしょうがないので、カゴを持ち、店内を巡る。


まずはジュース売り場に行き、サイダーのしゅわっとしたものを選ぶ。


コンビニの中は涼しいが、外に出た途端、暑くなるから、サイダーの弾けた感じが欲しかった。


あとは人気のミルクティーをカゴに入れ、食べ物をどうしようか悩む。


夏なので、太らないものがいいなと、サラダスパゲッティを手に取り、最後はスイーツに行く。


私はチーズ系が好きなので、チーズケーキを選ぶと、彼が店内に入って来た。


「何、買うんだ?」

「あのね、サラダスパゲッティと、サイダーとミルクティーと、ベイクドチーズケーキかな」

「そうか。もう会計は済ませたのか?」

「まだあなたにやってもらうと思って」


私は照れたように笑うと、男性が言ってくる。


「若いな。俺もそんな時期があったっけ」

「何を言っているんですか。まだ若いじゃないですか」

「それはそうだ。負ける気はしないな」


ははと上機嫌に笑うと、私と彼を見て1000円、渡してくる。


「それで何か買え。成長期なんだから、遠慮するな」

「でも…」

「いいから。…あ、新しくお客さんが来たぞ。早く商品を並べろ」


そう言うと、振り返り、行こうとする。


「もう行くんですか?」

「ああ、トラック運転手は時間厳守だからな」

「厳しいんですね」

「まあな。俺はいいから、彼女と一緒に何か買え」


そう言うと、男性は手を上げ、行ってしまう。

その姿は男らしく、彼が憧れるのがよく分かる。


「目つきの鋭い人だったね。うちのライオンさんに負けていないや」

「そうか? それなら嬉しい。俺の憧れの人だから」


彼が駐車場を見たので、私も同じ方向を見ると、トラックがバックして出るところだった。


彼が軽く手を振ると、私に1000円札を見せてくる。


「どうする? 何か買う?」

「うーん、どうしよう」

「アイスでも買おうか」

「おう」


そう言うと、彼は私にアイスを選ばせる。


「俺、仕事するからゆっくり選べ」


彼は仕事に戻り、忙しそうに動き回る。


私はどれにしようか迷った挙句、一口大のアイスを選ぶ。


「お会計、お願いします」


店内にすっと響くような、私の声。、すぐさま彼が来てくれ、商品のバーコードをスキャンしていく。


私はICカードで支払うと、

「ありがとうございました」

と彼が丁寧に頭を下げた。それから私に聞いてくる。


「トラック運転手、かっこよかっただろう?」

「うん。何でもこなしそうな、賢そうな人だったね」


2人でふふと笑うと、彼は私に言う。


「気をつけて帰れよ。分かったか?」

「うん、ありがとうね」


バイバイと手を振ると、彼が心配そうな表情をしたが、大丈夫と胸を叩くと、店を後にしたのだった。

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