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プロローグ

「永遠にお前だけを愛する。共に空を駆けよう。アリシア」

ああ……今日も画面の向こうで推しが輝いている。

見て、あの無造作にセットされた(ように見える超絶技巧の)茶髪! どこまでも広がる空色の瞳!

彼こそが、乙女ゲーム『海・陸・空のラプソディ』のメインヒーロー、スカイフォール・シー・エリアル王太子殿下である。

その横で、計算し尽くされた角度で首をかしげるのはピンク髪のフロレスタ王国の姫君のアリシア。

……いいなぁ、聖女。いいなぁ、花の姫。私もその位置、代わってほしい。

「きゃーーー! スカイフォール様、今日も尊い! その瞳に映るなら、私、網膜剥離になっても本望です!」

そんな呑気な叫び声を上げていたのが、ついさっきまでの私だ。

このゲームの舞台は、個性が強すぎる三国。

豊かな大地を持つ、グラン・フロレスタ王国(陸国)。

翼が生えていて天候すら操る、チート集団のエリアル王国(空国)。

そして、足を尾鰭に変えて優雅に泳ぐ、美形の産地マリナリス王国(海国)。

この二国を股にかけて、アリシアが、スカイフォール様と海国の王子オーシャノス殿下を天秤にかける……じゃなかった、恋のバトルを繰り広げるのだ。

「正直、世間的にはミステリアスなオーシャノス様がNo.1人気だけど! 私は断然スカイフォール様なのよね! あのちょっとダメなところがある王子を、私が甘やかしたいのよ!!」

はぁぁ! 今日も推しが眩しすぎて視力が8.0くらいになりそう!

神様、もし生まれ変わるなら、最後に推しと結ばれるアリシアでお願いします! 徳なら積んでます! 課金という名の徳を、クレカの限界まで積んでますから!!

そんな強欲な祈りを捧げていた私だったが、死というものは、課金の決済スピードよりも速く訪れた。

――ガシャーン!!

「痛い!……あれ、痛くない?」

気がつくと、私は真っ白な空間にいた。

いや、違う。

……え?この群青色の髪、アメジストの瞳、セレスティアラやん!!

ゲーム内での彼女の役割は、ヒロインへの嫌がらせを完遂した末に、推し(スカイフォール)から「消え失せろ、この毒婦!」とゴミを見るような目で見られて処刑される、断罪確定の悪役令嬢である。

「………………」

神様、アリシア(ヒロイン)って言ったじゃん!!!!

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