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「...ここが檻....じゃなかった。公爵家...。」
我が家の何倍?と言いたいほどの大きな庭の中に屋敷があり、広...と呟く。
馬車から降りると、私を待っていた公爵様と、執事らしき人が。
「長旅で疲れただろう。迎えに行けずすまなかった」
「...いえ、本日よりよろしくお願いいたします」
執事の人はモーリスさんって言うらしく、モーリスさんから今後の説明等をされるらしく、まず私の部屋に案内された。
「こちらがサリエナ様がお過ごしになるお部屋になります。夜はこちらにダリウス様が来られます。」
あーはいはい。契約にあった夜は一緒に寝るってやつね。まあ、こんな広いベッドなら2人並んでも苦じゃなさそう。部屋も広くて、こんないい部屋に住んでいいんだろうか。
「...モーリスさん、私の部屋こんなに豪華でいいんですか?使用人なのに」
そう言うと、モーリスは首を振った
「サリエナ様は使用人ではなく、ダリウス様に飼われるお方になります。それと私の事はモーリスとお呼びください」
「えーと...じゃあ屋敷のお掃除とかは...?」
「勿論していただく必要はございません。」
飼われるにしても給金は出るのに、掃除とかをしない...?...本当に何もしないで飼われるだけ...?
...なんだか愛人みたい。なんて思ったりもしたけど、まだ愛人の方が人として扱われている分、私はどういう扱いになるんだろうと思った。
夕飯の時間になったようでモーリスが呼びに来た。
そして案内してもらうともう公爵は席に着いていた。
私も座ろうと思ったけれど、食器が公爵の前にしか置かれておらず、私はどうしたらいいんだと立ち尽くしたら、公爵が私を呼んだ。
「サリエナ、こっちにこい」
そう言われたので私は公爵の近くに行くと、腕を引かれて公爵の膝の上に乗った。
「ちょっ....」
と慌てて立ち上がろうにも抑えられていて立てず、食事が目の前に運ばれた。
そしてそれをフォークで刺すと私に差し出してくる。
(え....!?食べさせるってこの体制で!?)
契約ではあるため私は差し出された食事を文句言わず食べた。
「うまいか?」
そう聞かれたので頷いて答える。
本当に何がしたいのやら。
公爵との食事はなんとか終わり、私は部屋に戻った。
「....疲れたわ....これが毎日続くと思うとゾッとするわね」
それから湯浴みをしようと立ち上がった時だった。
コンコンと扉を叩かれたので返事をすると、私の部屋に来たのは公爵だった。
「....もう就寝ですか?」
と聞くと公爵は首を振って答えた。
「湯浴みだ」
?え?湯浴み?ここで?
「あ、はい。どうぞ」
そう言って私は浴槽の扉を開けた。
「ちがう。お前のだ」
え?私の湯浴み?私の湯浴みなら公爵はどうしているの?
一つの考えが浮かび上がるが受け入れたくなくて、笑いながら聞く。
「まさか、私の湯浴みまで世話すると...?」
まっさか〜と冷や汗をかきながら聞くも、返事はそれを肯定した返事だった。
「ちょっと待ってください。...一応私貴族令嬢ではあるのです。未婚の。流石にそれは...」
とお願いしてみるも、返ってきた言葉は
「身の回りの世話も契約に入っている。」
この一言。
......逃げようかな、もう。
公爵家に来て初日で私の心はボロボロだ。
「せめて脱ぐのは1人でさせてください」
そう聞くと頷いてくれたので私は少しホッとした。
服を脱いでタオルを巻いて、先ほどメイドが入れてくれた入浴剤入りのお風呂に浸かる。
そして公爵を呼ぶと、彼は石鹸と桶を片手に入って来た。
そして桶を置いて、私の髪に触れた。
「痛かったら言ってくれ」
そう言うと彼は石鹸で私の髪を洗い出した。
「...どうしてメイドにやらせないんですか?」
どうして公爵自ら私の世話なんかやりたがるんだろう。
「俺がしたいからしてる」
他に理由が?と言われた。
それから会話は途切れ、沈黙の中水と髪を洗う音だけが響く。
公爵は本当に丁寧な手つきで洗ってくれる。まるで宝物にでも触るよう。
もっとゴシゴシしてくれた方が気持ちいいんだけどなー...なんて公爵には言えないけど心の中で呟く。
「流すぞ」
そう言われたので私は目を閉じ、泡とお湯が顔に流れてこないようにするため上を向く。
洗い流されると思っていたのにしばらくの間待っていたが私の髪が洗い流されない。
何故?と思いながらも今目を開けて洗い流されたらたまったもんじゃない、とずっと目を閉じ続けた。
そしたら口に何か柔らかいものが触れた。
驚きで目を開けると公爵が逆から私にキスをしていた。
「んんっ!?」
なぜ!?とテンパる頭で顔を下に下げ、湯船の中に沈んだ。
ぼちゃん。と私は湯船の中に沈みながら考えた。
キス?されたよね?え?
考えがまとまらず酸欠になり、湯船が顔を出す。
「.....あの....なぜにキスを....?」
そう聞くと公爵は首を傾げて言った。
「何故だろう....?」
そう言った公爵に私はお湯を顔面にかけてやろうかと本気で思った。




