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夢:遊園地
こんな夢を見た。
そこは、綺羅びやかな遊園地だった。
ジェットコースターや観覧車、くるくるの回るコーヒーカップ。
手を引かれながら歩くそこは、幼い頃から何度か連れて行ってもらった遊園地に違いなかった。
「楽しいね」
私の左手を引くのは筋張った手だ。いつもは梳きバサミを握る手で、父は私を誘う。
「此処は、楽しいね」
私の右手を握るのは、しなやかな優しい手だ。足取りも軽く、母は歩みを進めた。
キラキラと輝くイルミネーションが、幻想的な楽しげな音楽がどこか懐かしく思える。
此処に最後に訪れたのは、確か高校入学が決まったお祝いの時のはずだ。
「ずっと此処に居たいね」
ちらりと見上げる両親の顔は、弧に歪んだ口元以外はよく見えない。
頷こうとした私は、ふと足を止める。
ーー誰の入学祝いだっただろうか?
疑問符が過った瞬間、イルミネーションが音を立てて消えた。